【草津温泉】街全体が常にアップデート!

石井:草津温泉のシンボルは、湯畑だけだったところからかなり進化しましたね。(※湯畑…草津温泉街の中心に位置する草津温泉のシンボル。毎分4,000リットルの温泉が湧き出ている)
鳥海:そうなんですね。僕、実はあまり草津に行ったことがないんですよ。
石井:草津は温泉街全体をどんどんきれいにリニューアルしていて、“裏草津”という新スポットもできました。殺菌力が高い草津温泉の湯で手を洗える『手洗乃湯』や、源泉が流れていて天然のスチーマーのように浴びられる『顔湯』、約1万冊の漫画作品が並ぶ『漫画堂』など新しい見どころが増えました。さらに、草津温泉の入り口に『温泉門』という立体交差が開通。温泉を大量に滝流しにして、夜も楽しめる無料の足湯と駐車場も完成しました。夜になると、その温泉門から湯畑、西の河原温泉の方まで美しくライトアップされるんです。夜の幻想的な草津を楽しみたくて、宿泊する人が圧倒的に増えたそうです。
鳥海:まるで温泉テーマパークのようですね。
石井:リニューアルだけでなく新しい試みもしていて、西の河原の露天風呂では湯浴み着で楽しむ混浴イベントも開催されています。最初はいちイベントとして始めた混浴がすごくウケて、今では毎週金曜日に、湯あみ着を着て家族やカップルで一緒に温泉が楽しめるんです。
鳥海:来た人を楽しませる工夫が素晴らしいですね。
草津温泉群馬県
標高1,200mに広がる豊富な湯量と泉質の良さを誇る人気温泉地。毎分32,300リットル以上の自然湧出量は日本一で、日本三大温泉の一つに数えられる。

【長門湯本温泉】地域密着型の注目スポットが新オープン!

石井:長門湯本温泉は、今年の3月15日に『SOIL Nagatoyumoto』がオープンして、温泉街全体がまたガラッと変わっていく予感がします。
鳥海:『SOIL』って初めて聞きました。どんな場所なんですか?
石井:広島の瀬戸田に『SOIL Setoda』という地域密着型の複合施設が既にあるんですが、中には宿やレストラン、アクティビティセンターなどが備えられているんです。アクティビティとして、レモン収穫サイクリングツアーや因島カヤックツアーなど、地域のことを知る体験ができるんですよ。
鳥海:へぇ、いいですね。建物自体もおしゃれ。
石井:新しくオープンしたばかりの『SOIL Nagatoyumoto』は、元々、長門湯本の中心部にあった『六角堂』という老舗旅館をリニューアルしたんです。あえて館内には大浴場を作らず、宿泊客にはすぐ隣にある共同湯の『立ち寄り湯 恩湯』を使ってもらうスタイル。恩湯の温泉は、源泉が自然湧出する様子を眺めながら入れる温泉で、化粧水のようにすべすべで気持ちいいです。
鳥海:長門には星野リゾートの『界 長門』もありますが、SOILの参入でまた新しい風が吹きそうですね。
石井:そうなんです。地元の方々も新しいものを柔軟に受け入れて、新旧をうまく融合させていて「さすが長州!」という感じです(笑)。
長門湯本温泉山口県
山口県で最も古い約600年の歴史をもつ温泉街。地域のシンボル『立ち寄り湯 恩湯』や『星野リゾート 界 長門』、『SOIL Nagatoyumoto』など新名所が近年続々オープン。

【城崎温泉】テレワークが似合うおしゃれな温泉街

鳥海:個人的には、昼間にカフェや宿でおしゃれにテレワークができるのが“進化する新温泉地”の定義の中のひとつかなと思うんです。そういう意味で推したいのが城崎温泉。老舗旅館の西村屋が手がける『さんぽう西村屋 本店』という複合施設は、2階にサロン空間があります。1日2,000円で、地酒やドリンク、地元の食材を使ったスナックのブッフェを楽しめて、同日なら何度でも再入場が可能。外湯めぐりの合間の休憩はもちろん、上質な空間で優雅にテレワークできます。
石井:あの空間、私も使ってみたいなと思っていました。『さんぽう』の1階には、地元・但馬地方の食材を使った和食レストランがありますよね。
鳥海:そうなんです。城崎は海も山も近いからおいしい食材が豊富で、僕は冬になると松葉蟹を食べに行きたくなります。
石井:城崎は良いお宿も多いし、外湯巡りも楽しいですよね。行ったらぜひ注目してほしいのが、城崎温泉駅前にある手湯。あそこは源泉なのですが、泉質が最高です。手湯にそのままドボンと入ってしまいたいくらい!
城崎温泉兵庫県
兵庫県北部の日本海に面した関西有数の温泉街。7つの外湯巡りを楽しめるのが最大の魅力。「駅は玄関、道は廊下、宿は客室、外湯は大浴場」と考えて街づくりされている。

【道後温泉】シンボル的温泉を巡るための街づくり

石井:道後温泉は『道後温泉本館』が2024年に保存修理工事を終えて、全館営業を再開してますます賑わいを見せていますね。本館ファンはやはり多くて、色々な人が協力してくれたために当初の予定よりも早く工事が完了したそうです。
鳥海:道後温泉に行ったならば、やっぱりみんな本館に入りたいですもんね。もしくは『道後温泉別館 飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)』。僕が道後温泉に行くのはほとんど出張のためだけど、外湯に入りたいから宿自体にはあまりこだわりがないです。
石井:そういう方がやはり多いみたいで、本館や飛鳥乃湯泉を巡るための宿にしたり、宿ではワーケーションに特化したプランを作ったりと、色々工夫をされているようです。道後らしい泊まり方ができるアクションを、管理会社のみなさんで知恵を出し合ってトライされているのが素晴らしい。
鳥海:それこそ、僕の友人に道後でワーケーションしている人がいます。素泊まりの宿でも、街中のグルメが充実しているから全く問題ないですよね。道後商店街においしい海鮮料理の店があるし、松山に食べに行っても楽しいし。自由に自分らしい過ごし方ができるのが道後温泉の魅力のひとつだと思います。
道後温泉愛媛県
3,000年を超える歴史を持ち、日本書紀にも登場する古代からの名湯。道後温泉のシンボルとして愛される共同浴場『道後温泉本館』は国の重要文化財に指定されている。

【野沢温泉】新名産品×無料温泉×人の温かさが魅力

石井:長野の野沢温泉も、新たな試みをして活性化している場所のひとつですね。スキー場が有名なだけあって冬の客足はすごいのだけど、逆にグリーンシーズンは何を売っていこうと考えた時に、水の豊かさに目を付けられて。昔の缶詰工場を、今はクラフトジンとウィスキーの蒸留所として活用しているんです。
鳥海:水が良いところは、酒も温泉も良いから強いですよ。野沢温泉は海外の人からの人気も高いですよね。観光客はもちろん移住者も多くて、街のあちらこちらで外国語が飛び交っているイメージ。
石井:おっしゃる通り世界中から人気がありますね。野沢の方々の考え方ってすごく面白くて、“野沢温泉村の人”と“それ以外の人”という考え方なんです。それが外国人であろうと日本人であろうと、野沢が好きでそこに集まってくる人はみんな“野沢温泉村の人”が受け入れて、一緒に楽しむ空気感なんですね。昔からそこに住んでいる人、野沢が好きでIターンした人、自分の国と2拠点のように暮らしている海外の人の三者が一体となって街を盛り上げる構造ができているんです。
鳥海:風通しの良さを感じますね。人も良くて酒もおいしくて温泉も良い。しかも外湯はほとんどが無料で入れて、そりゃみんな野沢が好きになりますよね。
野沢温泉長野県
長野県北部に位置する、700年以上の歴史を持つ温泉街。高い鮮度で豊富な湧出量をほこる。野沢温泉街には14の外湯があり、うち13ヶ所の外湯は無料で入浴できる。

この記事の温泉地でおすすめの宿
長門湯本温泉山口県
山口県で最も古い約600年の歴史をもつ温泉街。地域のシンボル『立ち寄り湯 恩湯』や『星野リゾート 界 長門』、『SOIL Nagatoyumoto』など新名所が近年続々オープン。

ちょいズラし温泉に行くメリットは、そんなに混雑していない中でゆっくり温泉を楽しめること。静かな自然の中で良質な温泉を楽しむのは最高の贅沢ですよね。