1泊旅行にはスムーズな移動が重要
僕の場合、プライベート旅行で温泉宿に連泊することはほとんどありません。そもそも普段から出張の多い生活だし、2泊以上するなら海外に行くので、1泊という限られた時間をどう過ごせるかを、温泉宿を選ぶ時は重視します。そのために大切なポイントがいくつかあって、まずはスムーズに行って帰ってこられること。山奥の秘境に行くこともたまにはありますが、基本的には疲れず移動できる場所を選ぶことが多いです。次に、他の宿より何かひとつ秀でたポイントがあること。限られた時間の中でどんな体験ができるか、どんな温泉や食事に出会えるかに重きを置いています。最後に価格帯。僕の中で「6万円以上払うのはよっぽどじゃないと」という感覚があるので、1泊3～4万円で泊まれる宿を選ぶことが多いです。そうなると宿の規模感が大きすぎず小さすぎずちょうどよくて、大浴場もゆったりしたいい温泉であることが多いんですよね。僕としては、そういった温泉宿で過ごすのが心地いいなと感じます。
【グランディア芳泉】読売ジャイアンツの選手も絶賛する料理とおもてなし
2024年に北陸新幹線の延線があり、東京駅から乗り換えなしで行けるようになった芦原温泉駅。アクセスが良くなったので、去年だけで3～4回訪れました。中でも特によかった温泉宿が『グランディア芳泉』。大浴場もきれいで広々としているし、部屋も落ち着いているし、全体的にバランスが整っているいい宿です。特によかったのが、ＪＡＬのファーストクラス機内食監修を務めた総料理長が監修している食事。北陸の海の幸や国産牛などどれもおいしいけど、個人的には『ふくいサーモン』がこんなにおいしいのかと衝撃を受けました。僕が行った数ヶ月後に、読売ジャイアンツの選手たちが福井遠征の前日にこの宿に泊まったらしいんです。彼らが宿に到着したのは夜中だったのに、最高の食事を用意してくれていたそうで、「今までの宿の食事で一番良かった」と大絶賛されていました。そのおもてなし精神が評判となり、またそこで人気が出た温泉宿です。
あわら温泉福井県
四季折々で美しい表情を見せる約7,000坪の大庭園を有し、おもてなしに定評のある温泉宿。天上の広々としたSPAや、無料の温泉たまご手作り体験が人気。
【伝承千年の宿 佐勘】上質な老舗温泉宿で現実逃避
東京駅から新幹線はやぶさに乗れば、約1時間半で到着できる仙台駅。仙台駅は何よりも東京駅間を行き来する新幹線の本数が多いのが魅力です。仙台駅から車で30分ほどの秋保温泉は、温泉街に入ると、仙台の街と雰囲気がガラッと変わります。『伝承千年の宿 佐勘』は全体的にゆったりと落ち着いた雰囲気の温泉宿で、ちょっと現実逃避できる感じ。スケールの大きい大浴場がいくつかあり、源泉かけ流しの露天風呂もあります。近辺に酒蔵が多いので、お酒もおいしい。食事は地域のおいしいものが集まっていて、仙台黒毛和牛も刺身もイチゴも、どれも素晴らしかったです。温泉街を歩くのも楽しいし、都内からの1泊旅行に秋保温泉はとてもおすすめです。
秋保温泉宮城県
近代和風建築の中に、守り続けられてきた歴史と伝統が宿る。徳川時代には、仙台藩主・伊達政宗公ゆかりの湯として栄えた。約1,500年前から湧き続ける秋保温泉の元湯を有する。
【和多屋別荘】館内の店を巡っておしゃれに過ごす
西九州新幹線が開業して、アクセスが飛躍的に向上した嬉野温泉。新幹線開業を機に訪れたのが、ティーツーリズムでも話題の『和多屋別荘』です。源泉かけ流しの温泉がバラエティ豊かに楽しめるだけでなく、ここは他の宿と昼間の過ごし方が全く異なります。館内に嬉野茶を堪能できる『副島園』のバーや茶寮カウンターがあったり、『Made in ピエール・エルメ』のアフタヌーンティーが楽しめたり、書店やセレクトショップがあったりと、魅力的な店が軒を連ね、昼の時間をおしゃれに過ごせることが最大の魅力だと思います。特に嬉野茶の茶寮カウンターでは、ゆっくりとお茶を味わって、専門店で茶葉を購入して、「家ではこう淹れるとおいしいですよ」と教えてもらって、特別な体験や学びがたくさんありました。とはいえ温泉やお部屋もゆっくり楽しみたいと思うので、チェックイン前後に館内を見て回るのもいいと思います。（※ティーツーリズム…一杯のお茶やお茶文化を目的とした新しい旅のスタイル。茶畑にある特別な茶空間で、茶師がいれたお茶をいただくティーセレモニーなどが体験できる）
嬉野温泉佐賀県
嬉野川沿いの20,000坪の敷地に佇む温泉宿。ティーツーリズムを体験できるほか、館内には副島園の茶寮カウンターや『Made in ピエール・エルメ』の店舗などユニークなお店が多数。
【あらや滔々庵（とうとうあん）】温泉と食事と静けさを贅沢に堪能
いい温泉に入って、おいしい食事を楽しんで、ぐっすり眠る。そんな静かで贅沢な時間を最大限に楽しめる『あらや滔々庵』。“北大路魯山人（きたおおじ・ろさんじん）も愛した宿”という呼び名にふさわしい歴史と日本文化を感じる宿で、究極の非日常を味わうことができます。温泉は山代の湯元で泉質も素晴らしく、大浴場、露天風呂ともすべて源泉かけ流し。食事は、橋立漁港で水揚げされた新鮮な海の幸や加賀野菜などを堪能できます。以前は、石川県の小松空港からレンタカーやタクシーで訪れていましたが、北陸新幹線 加賀温泉駅ができたことで、東京駅から乗り換えなしでアクセルできるようになりました。新幹線と飛行機の2パターンで行けるようになったのは個人的にうれしいポイント。温泉好きの食いしん坊は、一度は足を運んでみて欲しい文句なしの温泉宿です。
山代温泉福井県
山代温泉で18代続く、加賀の名湯と美食を楽しめる純和風の老舗宿。地元・橋立漁港で水揚げされた日本海の幸、伝統的な加賀野菜や特産の果物などを使った料理が楽しめる。
【星のや軽井沢】異世界に迷い込んだような宿泊者専用ビレッジ
新幹線で東京駅から約1時間10分で軽井沢駅に着いて、さらに車で約15分のところにある『星のや軽井沢』。チェックインして部屋に入った瞬間から、現実から完全に切り離されたような異世界を楽しめます。エリア全体が宿泊者しか入れないひとつのビレッジになっていて、軽井沢とは全然違う外国にいるかのよう。その特別な世界観と、お風呂がとにかく良かったです。『星のや軽井沢』には、日帰り温泉としても利用できる『トンボの湯』と宿泊者専用の『メディテイションバス』がありますが、印象的だったのは『メディテイションバス』。温泉施設兼スパで、源泉かけ流しの温泉のほかにサウナや水風呂、そして『光の部屋』と『闇の部屋』というのがあります。特によかったのが『闇の部屋』。真っ暗な中で温泉に浸かるのは初めてで、他では味わえない神秘的な体験ができました。高価ではありますが、その分泊まる価値のある宿だと思います。
星野温泉長野県
木々と水に囲まれた集落のような設計のリゾートホテル。温泉は、宿泊者専用の『メディテイションバス』と一般の来訪者も入れる『トンボの湯』の2種類がある。
【赤倉観光ホテル】絶景を臨める正統派高原リゾート
前々から行ってみたくて、新潟で講演会がある前日に前乗りして泊まった『赤倉観光ホテル』。日本の高原リゾートの草分け的存在で、伝統のあるレトロなホテルです。新幹線で東京駅から約1時間50分で上越妙高駅まで行けて、そこから車を約30分走らせれば到着します。ここは、噂に聞いていた通り景色がとにかく素晴らしかったです。特に大浴場と露天風呂からは、遮るものが何もない絶景を見晴らせました。温泉自体も、赤倉温泉の源泉かけ流しでしっかりと体が温まります。ここでは普段あまり行かないバーにも行ったのですが、落ち着いた雰囲気の中でゆったりとした時間を過ごさせてもらいました。スキー場としても人気のエリアですが、グリーンシーズンに行くのも気持ちがよくておすすめです。
赤倉温泉新潟県
昭和12年、日本の高原リゾートの草分け的存在として創業されたクラシックリゾートホテル。歴史と気品ある空間、標高約1,000mから臨む絶景と良質な温泉が持ち味。
【ホテルニューアカオ】昭和レトロなムードと12の温泉を楽しむ
家族連れやグループなど、大人数での旅行に特におすすめの『ホテルニューアカオ』。僕は熱海海上花火大会を見に行ったのですが、その花火大会を見るには最高の場所でした。昭和レトロなホテルなだけあって、昔ながらのゲームコーナーや缶詰バーなど面白いスポットが満載なのですが、一番印象に残っているのはシアターレストラン『メインダイニング錦』です。バブル時代を感じるようなレトロな内装で、メインダイニングだけで2,000㎡の広さがあるそう。夕食ビュッフェは約90種類ものラインナップがあり、久しぶりにこんなにボリューム感のあるビュッフェに出会ったなと印象的でした。あと温泉も良くて、12種類もの湯があるんです。『スパリウムニシキ』という露天風呂はインフィニティデザインになっていて、一面に広がる海を眺めながらの入浴は最高でした。何よりも熱海は新幹線で東京から40分ほどで到着できるので、仕事終わりにでも行けてしまう気軽さが魅力です。
熱海温泉静岡
2023年にリニューアルオープンした熱海のシンボル的リゾートホテル。昭和レトロなムードと、インフィニティデザインの露天風呂をはじめとする充実した温泉が魅力。
【天然温泉 富嶽の湯 ドーミーイン三島】温泉から富士山を一望
少しテイストは違いますが、『天然温泉 富嶽の湯 ドーミーイン三島』も印象に残っている宿のひとつ。東京駅から三島駅までは新幹線で約40分、三島駅から徒歩約5分という非常にアクセスの良いホテルです。ここの素晴らしさは、大浴場から真っ直ぐに大きな富士山が見えるところ。僕も温泉に浸かりながら、その眺望に癒されました。ドーミーインはどこも天然温泉で、『富嶽の湯』は関節痛、筋肉痛、神経痛に効能があるそう。日帰り利用もできるので、三島を訪れた際に寄ってみてはいかがでしょうか。
富嶽の湯静岡
三島駅 南口から徒歩約5分の場所にあるホテル。最上階の12Fにある、富士山を臨む男女別天然温泉大浴場「富嶽の湯」は自家源泉。
この記事の温泉地でおすすめの宿
あわら温泉福井県
四季折々で美しい表情を見せる約7,000坪の大庭園を有し、おもてなしに定評のある温泉宿。天上の広々としたSPAや、無料の温泉たまご手作り体験が人気。
秋保温泉宮城県
近代和風建築の中に、守り続けられてきた歴史と伝統が宿る。徳川時代には、仙台藩主・伊達政宗公ゆかりの湯として栄えた。約1,500年前から湧き続ける秋保温泉の元湯を有する。
嬉野温泉佐賀県
嬉野川沿いの20,000坪の敷地に佇む温泉宿。ティーツーリズムを体験できるほか、館内には副島園の茶寮カウンターや『Made in ピエール・エルメ』の店舗などユニークなお店が多数。
山代温泉福井県
山代温泉で18代続く、加賀の名湯と美食を楽しめる純和風の老舗宿。地元・橋立漁港で水揚げされた日本海の幸、伝統的な加賀野菜や特産の果物などを使った料理が楽しめる。
星野温泉長野県
木々と水に囲まれた集落のような設計のリゾートホテル。温泉は、宿泊者専用の『メディテイションバス』と一般の来訪者も入れる『トンボの湯』の2種類がある。
赤倉温泉新潟県
昭和12年、日本の高原リゾートの草分け的存在として創業されたクラシックリゾートホテル。歴史と気品ある空間、標高約1,000mから臨む絶景と良質な温泉が持ち味。
熱海温泉静岡
2023年にリニューアルオープンした熱海のシンボル的リゾートホテル。昭和レトロなムードと、インフィニティデザインの露天風呂をはじめとする充実した温泉が魅力。
富嶽の湯静岡
三島駅 南口から徒歩約5分の場所にあるホテル。最上階の12Fにある、富士山を臨む男女別天然温泉大浴場「富嶽の湯」は自家源泉。
ちょいズラし温泉に行くメリットは、そんなに混雑していない中でゆっくり温泉を楽しめること。静かな自然の中で良質な温泉を楽しむのは最高の贅沢ですよね。