これが北陸新幹線だ!「和の伝統美」と「最新技術の機能美」の結晶
北陸新幹線 金沢―敦賀間2024年3月16日開業。
今まで陸路では半日あまり掛かっていた北陸行きが、二時間“ちょっと”に短縮されます!
「食」「温泉」「歴史」・・・魅惑の地『北陸』がすぐそこに!
新型車両のデザイン・3つのインテリア
デザインコンセプトは「“和”の未来」
北陸新幹線で活躍するべく、投入された新型車両『W7系』&『E7系』。 この車両はJR東日本とJR西日本の共同開発で、『W7系』はJR西日本所有、『E7系』はJR東日本所有の車両で、ほぼ同一仕様です。 開業に先立ち2014年12月、東京〜長野間「あさま」では『E7系』が先行導入されました。
この最新車両は「“和”の未来」がデザインコンセプト。加賀百万石を誇る金沢など歴史深い北陸と、日本の首都東京を結ぶことから、日本の伝統文化を形作る“和”のエッセンスを散りばめ、未来を拓く新幹線をイメージするスタイルになっています。
エクステリアを彩る3色は、北陸の青い空、九谷焼の白、象眼細工などに使われる銅色をイメージ。川崎重工業製の空気力学的にも最適化された流線型の先頭形状とも合わさって、鮮やかでスピード感と精悍さが表現されました。
インテリアには、沿線の多彩な文化、四季折々の要素がデザインとして散りばめられています。
「フェラーリをデザインした男」のデザイン監修
車両デザイン監修は、「イタリア人以外で初めてフェラーリをデザインした男」としても有名な、日本を代表する工業デザイナー・奥山清行氏。 こちらも2014年にグッドデザイン賞を受賞した秋田新幹線の第二世代車両にあたる「E6系」、山形新幹線で臨時特急列車「とれいゆ つばさ」として運行されている「E3系700番台」などでも、すでに新幹線デザインを手掛けています。
実際のデザイン担当は、川崎重工の開発チームが担当。デザインモチーフの参考のため、北陸3県に足を伸ばし徹底した取材を敢行したことが北陸新聞のインタビューで語られています。
快適なインテリア
新型車両では、乗り心地やブレーキ性能もUP。座席でのノートPC利用やスマホの充電などを見越し、コンセントも従来型車両より増設されました。また、すべてのトイレに温水洗浄機能つき便座が使われ、全座席に座席bフ点字パネルがつくなど、バリアフリー設備も充実。北陸までの車内の旅を快適に過ごせます。
そして特筆すべきは、インテリアデザイン。ファーストクラスにあたる「グランクラス」「グリーン車」「普通車」それぞれで、北陸の伝統工芸や歴史的建造物を彷彿とさせるモチーフが取り入れられ、“加賀百万石”の美意識、そして北陸を意識した『和』のデザインにまとめられています。
また、セキュリティ面でも、客室・デッキ・通路に防犯カメラ、客室・トイレ・多目的室に対話式非常通報装置が設置され、安心です。
人と空間の和「グランクラス」
−日本建築の美学が結晶した、定員わずか18名のラグジュアリー車両。
ファーストクラスにあたる「グランクラス」。各列車・1両、限定18席のプレミアム空間です。 日本建築の美しさ、漆塗りの深い色彩を取り入れ、上質でゆとりのある空間が演出されています。 グランクラスの配置された12号車には、フルアクティブサスペンションが搭載され、他とは一味違う乗り心地も感じられます。 「人間工学に基づいた乗り心地」を追求したシートは本革張りで、電動リクライニング。読書灯、座席スリッパ、電源コンセント、頭上の収納ボックス、コントロールパネルも、各座席毎に設置されている、など、居住性バツグン。2時間とちょっとの旅を快適にサポートします。
シートは「レクサス」などの高級車用のシートを手掛けてきたトヨタ紡織製。 座面には通気性を保つため、たくさんの小さな穴が開けられており、快適な姿勢を維持できるように座面・背もたれ・レッグレストなどが連動して動く。
コントロールパネルでは、電動リクライニングを最大45度まで稼動できる他、読書灯のオン/オフ、アテンダントの呼び出しも可能。
桜、鮎、紅葉、雷鳥など、日本の春夏秋冬をモチーフにしたデッキパネル。川崎重工・開発チームが金沢・前田家別邸「成巽閣」に訪れた際に見た「鮎の廊下」を参考にしたとのこと。
様式美の和「グリーン車」定員63名 / 彩りの和「普通車」 定員853名
グリーン車では伝統的な意匠とモダンな感覚を組み合わせ、落ち着きと気品を感じる空間が演出されています。 座席と床に使用されている「群青色」は、金沢・前田家別邸「成巽閣」の「群青の間」の色彩空間を参考にしたとのこと。床面の格子模様は日本建築でよく使用されるモチーフです。 グリーン車のシートは、座面と背もたれが連動して「ゆりかご」のように倒れる「クレイドル方式」が採用されています。 また、各座席に読書灯、電源コンセントも配備され、高いクオリティの居住性を実現しています。
普通車では、座面に格子模様を取り入れ、暖色系でまとまった明るく色彩豊かな空間となっています。 また、新幹線では初となる、全座席分の電源コンセントが配備されて利便性がアップしています。
最新技術の粋を集めた設計
シンプルな流線型で、騒音を押さえる先頭ノーズ
最高速度300km/h以上でトンネルを走る東北新幹線は、その速さゆえ騒音を打ち消すのに約15m長と長く複雑なノーズ形状をしていますが、最高速度260km/hでトンネルを駆け抜ける北陸新幹線は、この速度に合った約9m長のバランスの良い流線型の形状「ワンモーションライン」で騒音を抑えます。
安全性能を高めたブレーキシステム
勾配の多い山岳区間、豪雪地域も走る北陸新幹線では、地震時など、いざという時に短時間で停止可能なように、運動エネルギーを電気エネルギーに変換して速度を落とす「回生ブレーキ」方式が採用されています。
電源周波数切り替えに対応した車両システム
静岡〜糸魚川構造線に沿って東日本/西日本では電源の周波数が異なります。東海道新幹線は全て西日本の60Hz、東北新幹線は東日本の50Hzで運用されていますが、なんと北陸新幹線は、東京〜金沢までの間に、3回も周波数切り替えがあるとのこと。 乗客は一切気づかないままに、新幹線はこの電源周波数切り替えを綿密に組み立てられたシステムで行います。
騒音を抑えるためのパンタグラフ
空力特性に富んだシンプルな形状のシングルアームパンタグラフで、騒音を低減させています。
注目!新開業エリア「発車メロディ」
北陸新幹線・新開業エリア「長野駅」〜「金沢駅」では、新幹線の発車メロディにも注目です。JR東日本管内では各駅の地元にちなんだ曲、JR西日本管内では地元に縁のある作曲家の手掛けた作品が、発車メロディに使われているのです。メロディが鳴る15秒間も楽しんでみては!?
信濃の国
北村季晴 作曲
1900年発表。1968年に県歌に制定されて以来、長野県の県歌として長い間『県民のほとんどが歌える』と言われるほど、親しまれている。
ふるさと
岡野貞一 作曲
1914年発表の日本の唱歌。原曲の作詞家・高野辰之の出身地が長野県中野市。ふるさとの原風景を大人になって遠い地で懐かしむ、という内容の歌詞がポイント。
夏は来ぬ
小山作之助作曲
1896年発表。原曲の作曲家で『日本音楽教育の母』と呼ばれている小山作之助の出身地が上越市。
煌-水の都から-
高原兄作曲
2014年発表。富山市出身のシンガーソングライター&タレント・高原兄氏により、地元ローカル曲の番組テーマソングとして作られる。地元の豊かな名水をイメージ。
オリジナル曲
須藤晃作曲
尾崎豊のプロデュースにも関わった富山県出身の音楽プロデューサー須藤晃氏に制作を依頼。富山県の名産品「ガラス」をイメージ。
オリジナル曲
太田豊 作曲
富山県出身の音楽家・太田豊氏に制作を依頼。高岡市を代表する伝統工芸品の銅器「おりん」をメイン楽器に使用し、郷土色を強く意識。高岡市長も満足とのこと。
オリジナル曲
中田ヤスタカ 作曲
Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅのプロデュースを手掛ける金沢市出身の音楽プロデューサー・中田ヤスタカ氏に制作を依頼。「金沢の山から海にかけての起伏ある自然条件や「伝統と創造」が調和するまちのイメージ、そして新車両も有する北陸新幹線の「スピード感と快適性」がテーマとして15秒の中に表現されている。