レトロな一枚戸をあけると、目前に海、右手に富士山が望める絶景が広がり、思わず歓声をあげてしまう。夕刻ともなれば、素晴らしい落陽も味わうことができる貸切露天風呂は、人気のほどがうかがえる。戸田の温泉にゆったりつかり、目の前の漁港で水揚げされた新鮮な海の幸を味わい、日本一の富士山を眺め、入り日に思いをはせる。休日はこう過ごしたいという贅沢の見本がここにはある。
季節によって変わる食前酒から始まる全15品の夕食は、地元の食材がふんだんに盛り込まれ、刺身は季節やその日水揚げされたものによって若干変わる。この日のメニューはマグロ、メダイ、ヒラメ、アオダイ、大きな手長海老。伊豆名産の生わさびを自分ですっていただく。どれも新鮮で美味。圧巻は、地元にしかない食材の「とろぼっち」(揚物)。つける戸田塩はまろやかな味で、1500年前安康天皇に献上品として供されたという逸品。
お宿の大きな楽しみの1つに、刻々と移り変わるドラマチックな夕焼けを眺めることがある。入り日は季節によって沈むポイントが変わるが、高台にある建物は西に向いているので、水平線に沈む夕陽を楽しむことができる。夕凪や夕映えなどひとつとして同じ落日はなく、温泉にゆったりつかりながら夕焼け雲を眺める様は、まさに至福のひととき。浮世の小事を忘れて、いい湯とドラマチックな自然の祭典を楽しもう。
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