山の斜面を利用して建つ優美な日本建築。5階建てだがフロント、ロビーは4階で、1~3階は斜面の下にある。自然との調和を考えて作られ、景観を損なわないように配慮。5階の屋根の高さが周囲の赤松を超えないようにしたという。それが評価され、社団法人建築業協会が表彰する第42回建築業協会賞を平成13年に受賞した。デザインだけでなく、設計、施工、管理なども問う賞である。白砂を敷き詰め、緑の築山を配した中庭が美しい。
高い天井と大きな窓、そして浴室の左右いっぱいに広がるゆったりした浴槽。清潔感と爽快感、さらに開放感があふれる浴室である。女湯は洗い場と浴槽の底に十和田石を使い、浴槽の縁は見事な檜の木材で囲っている。清掃も行き届き、温かみのある印象だ。浴室正面の窓には周囲の山が間近に迫り、四季の移ろいが肌で感じられる。温泉はとろりとした滑らかな肌触り。サウナがあるほか、外に檜の露天風呂がある。
岩手へ来て、花巻へ来てこそ味わえる。そんな料理をめざしている。たとえば前沢牛の陶板焼は、品質日本一の呼び声が高い旧岩手県宮守村のワサビとしょう油で食べる。お造りには三陸の海の幸を入れ、雑穀をうまく使う県北の味も和食膳のコースに加えてみた。地産地消、郷土料理という、この土地ならではの献立を組む。味が濃いという岩手県のイメージをよそに、料理はすべて薄味。素材のよさを損なわない配慮だ。
心の中で「ごゆっくり」と念じるなど、おもてなしの心でお客様に接しています。新緑、紅葉のように館内のどこからでも感じられる自然をお楽しみください。肌に優しい温泉もおすすめです。(フロント係の白澤あきこさん)
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