「海上アルプス」と呼ばれる青海島を望む温泉地。近くに文治元(1185)年壇ノ浦の戦いで、安徳天皇を抱いて身を投げた、二位の尼の亡骸が流れ着いたという二位の浜がある。
JR山陰線黄波戸駅下車。そこはバスもタクシーもないひなびた駅。駅の外にあるこれまたひなびた公衆電話から宿(ホテル彩波)に電話して迎えに来てもらう。待つこと五,六分。宿のお女将さんが自ら自家用車を運転してのお出迎え。宿につくと三階の客室まで階段を上がる。エレベーターなどという文明の利器はないのだ。がしかし、部屋に入ると窓の外は日本海が目の前に広がり、海の彼方には海島が見える。だが何よりもお勧めは朝の光景だ。暗い海が徐々に明るくなり、やがて美しいあかね色になる。島影から太陽がゆっくりと昇り始めたとき、その荘厳な美しさに息をのむ。露天風呂もあり、そこからも朝日が見えるが、これは有料で、カップル向き。 夕食はもちろん、朝食も目の前の海で取れた新鮮な魚介類。これがまた絶品。魚介類が好きで、ゆったりのんびり温泉を味わいたい人には最高の温泉だ。 鉄道利用ではやや不便なので、車の好きな人はレンタカーが良いかもしれない。周辺の観光ポイントはいろいろあるが、長門湯本の赤崎神社にある日本最古の野外劇場で毎年9月10日に行われる楽踊りがお勧めだ。