■checkポイント■
≫≫≫ 火山のエネルギーを蓄えた濃厚な温泉
≫≫≫ 国民宿舎だからリーズナブルに泊まれる
≫≫≫ 歩ける遊歩道で火山の地形・地質を体感
≫≫≫ 鹿児島港と桜島港はフェリーで約15分!
オススメしたい方
【親子、夫婦、一人旅】
《噴火の回数は337回。うち、振動や噴石を伴う大きな噴火は191回》
これは、2019年12月初旬に桜島ビジターセンターを訪れたときに記してあった今年1年の桜島の火山爆発の回数です。
噴火が起きるのは日常的で、常に火山灰が降り注ぐ火山の島、桜島。
桜島の火山灰土壌は稲作には向かないけれど、目が粗い火山灰や軽石を含んでいるので水はけがよく、桜島大根や桜島小みかん、ビワに代表される特産品が有名です。桜島大根はギネスブックに登録された世界一大きな大根。桜島小みかんは、お正月の鏡餅の上に飾るのに適した小さなみかんでミネラルたっぷりの大地から栄養をとって、甘味が強いのが特長です。
桜島を訪れたら、まず立ち寄りたいのが、桜島ビジターセンターです。
江戸時代、大正時代、そして昭和に発生した噴火の歴史を教えてくれるとともに、火山とともに共生してきた人々の暮らしなどを解説してくれて、桜島に俄然興味が湧いてきました。
実は、私の祖父は桜島出身。
若いときに桜島を飛び出して、その後は神戸に移り住んだため、私自身がこれまで桜島を訪れる機会もなかったのだけれど、「野添商店」などという看板が目についたり、「野添」という姓をもつ人が多く住む集落があるということを聞いて、自分のルーツを考えるきっかけにもなりました。
火山のエネルギーを伝えるパワフルな温泉
さて、火山の島である桜島には火山のエネルギーをギュッと凝縮したパワフルな温泉が湧いています。
「国民宿舎レインボー桜島」の温泉は、ガラス張りの浴室に温泉と真湯(沸かし湯)の2つの浴槽が並んでいます。温泉は濃厚なナトリウム-塩化物強塩泉。舐めるとしょっぱくて、ガツンとくる強めの泉質です。
数分間入っていると、体中から汗が噴き出してきて、体がよく温まりました。
源泉温度は56.8℃。少し高いため温度調節のために加水をしていますが、かけ流しで供給されており、湯量は毎分300リットルもあるそうです。
真湯の方には懐かしの「電気風呂」があって、腰や足などお疲れモードの筋肉を電気でビリビリと刺激して疲れも吹っ飛びます。
火山の温泉と電気風呂のW効果で翌朝の目覚めはスッキリ爽快でした。
鹿児島の山海の幸を味わう
夕食が、旬の刺身や焼き物、鍋物、蒸し物、さつま揚げなどのついた和食膳なら1泊2食9,000円(税別)〜。薩摩黒豚や桜島大根、地魚を使ったプレミアムなコースでも同13,000円(税別)〜とリーズナブルな宿泊料金なのは国民宿舎ならでは。
朝食はうま煮やひじきなどの和食を中心に、さつま揚げやキビナゴ、鶏飯といった鹿児島・桜島の味も楽しめるバイキングで、郷土色豊かです。
宿のすぐ近くには、桜島をバックに足湯ができる全長100メートルの日本最大級の足湯(最近、長崎県・小浜温泉の足湯に日本一の座は譲り渡してしまったらしい)「溶岩なぎさ公園足湯」や「溶岩なぎさ遊歩道」もあります。
遊歩道から見えるゴツゴツと荒々しい岩は、大正溶岩。
この辺は、100年以上前の大正3(1914)年に爆発した大正噴火で流出した溶岩が海にまで迫ったところ。今では溶岩の上に松の木が生えて、徐々に植生が復活しつつあります。
遊歩道は全長約3キロメートル。
ただ歩くだけでも楽しいですが、桜島ビジターセンターでガイドをお願いすれば、より専門的な話を聞くことができます。
ちなみに、桜島までは鹿児島港から24時間運行のフェリーが往来していて、所要時間も約15分というびっくりするほどのアクセスの良さ。朝と夕方の通勤時間には15分間隔で運行しています。
写真と文・野添ちかこ(温泉と宿のライター/旅行作家)