温泉トップ > 特集 > 息切れ必至!? 320段の石段を下りていく混浴和み湯 〜湯守田中屋〜(栃木県・塩原温泉郷 大網温泉)

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息切れ必至!? 320段の石段を下りていく混浴和み湯 〜湯守田中屋〜(栃木県・塩原温泉郷 大網温泉)

■checkポイント■
 ≫≫≫ 渓流沿いに混浴露天風呂がある
 ≫≫≫ 客室にも美肌の湯を引湯
 ≫≫≫ 囲炉裏料理が絶品
 ≫≫≫ コーヒー代わりの温泉水がおいしい

オススメしたい方
 【カップル、夫婦、家族】

都心から車で約2時間30分という至近な場所にありながら、
自然との一体感が味わえる混浴風呂をもつ栃木県・塩原温泉郷の「湯守田中屋」。


「湯守田中屋」外観 《写真:野添ちかこ》
塩原温泉郷にある11湯の中でも最も首都圏から近い大網温泉にあります。

創業は明治17(1884)年。
相当お湯の質に自信があったようで、127年前のパンフレットには、「効き目あらずばお宿代返金す」と堂々と書かれています。

記されている効用は、癩病、瘡毒(梅毒)、淋病、疝気(大腸、小腸、生殖器など下腹部の内臓が痛む病気)、痔疾、胃病、肺病、リウマチス、寸白(婦人病)、長血(不正出血)……など。どうしようもできない病を治そうという人で大いに賑わっていたようです。

国立公園内ならではのワイルドさ

混浴の露天風呂は、宿から道路を反対側に渡って、320段の石段を下った先にあります。
バリアフリーの施設がもてはやされている昨今ですが、国立公園内、つまり日本の風景を代表する傑出した自然景観の中にある温泉宿だからこそのワイルドな露天風呂です。

写真は「仙郷湯」。
対岸はゴツゴツした岩がせり出していて、大自然を満喫できます。


混浴風呂といってもバスタオルを巻いて入れるので、女性でも入りやすい風呂です 《写真:野添ちかこ》
男性用は囲いのない脱衣スペース、女性には女性専用風呂の横に脱衣所が設けられています。宿の貸し出し用バスタオルを巻いたり、湯浴み着を着用して入浴できるので、「混浴」といっても入りやすい風呂です。無色透明、かけ流しの美肌湯が滔々と注がれています。

この日は、先客の男性客と入れ替わりでしたので、大きな湯船を独り占め。開放感のあるお風呂でゆったりとした気分を味わえました。

露天風呂エリアにトイレなどはありませんが、女性専用の露天風呂(屋根あり)が設けられていたり、入浴後、水分を含んだバスタオルを絞るための脱水機が置かれているなど、入浴客に配慮されていて好印象でした。


行きはよいよい、帰りは辛い・・・ 《写真:野添ちかこ》
風呂に入った後に320段の階段を上るのはなかなかにきつい(笑)ですが、日頃の運動不足を解消するよい機会かもしれません。冬季は防寒していった方がいいですが、入った後は全身ポカポカになります。よく温まる泉質です。

混浴露天風呂の日帰り利用は、現在は水曜・木曜・日曜の11〜15(受付14時)時のみ。日帰り利用の場合は時間を確認して行きましょう。

囲炉裏を囲んで、山の幸に舌鼓

この宿に泊まるのは初めてでしたが、想像以上の味と演出力のお料理に大満足でした。


夕食は囲炉裏を囲んで 《写真:野添ちかこ》
前菜のお皿は上品な感じで、湯葉、アミタケ菊花添え、ハタハタの香り焼き、ふくさ焼き、銀杏の塩炒りなどが少しずついただけます。


季節感が感じられる前菜のお皿 《写真:野添ちかこ》
焼き八寸は、五三竹(ごさんちく)、椎茸など。
五三竹は根曲がり竹というとわかりやすいでしょうか。青くなった皮をむいて、むいて、白い部分だけになったら、塩や味噌をつけていただきます。えぐみもなくて、甘味を含んだ独特の旨味が口の中に広がります。「自分で皮をむいて食べる」という体験も初めてで、おいしさが倍増しました。


五三竹はびっくりするおいしさ 《写真:野添ちかこ》
薬味として用意されているのは、塩のほか、自家製辛味噌、ポン酢と大根おろし。
荒く下ろした大根は鬼おろしを使ったもの。「栃木県では、『しもつかれ』という郷土料理をお正月に作るので、鬼おろしは家庭の必需品なんですよ」と仲居さんが教えてくれました

囲炉裏で焼かれた串物は、川魚(この日は岩魚)、とちぎ和牛、那須郡司豚、鶏つくねで、川魚と3種のお肉のフルコース。とちぎ和牛は、A5ランクの牛肉の中でも「匠」というブランド牛を使うこだわりよう。


最高級のブランド牛「匠」。柔らかい肉質でした《写真:野添ちかこ》
山なのに刺身がおいしいのもこの宿の魅力。
この日は、キントキダイ、クルマダイ、バイ貝、本マグロ。40代前半の料理長はかつて金沢や富山で修業した人だということで、魚の仕入れルートを持っているのだとか。

山で中途半端な刺身が出てきたら怒りますが、ここまでおいしい刺身が出てくるならば、これはこれで嬉しい!

凌ぎには手打ちそばを出したり、団子汁にきりたんぽを入れるなど、心憎い工夫で楽しませてくれます。


軍鶏の団子汁には囲炉裏で焼いたきりたんぽを投入していただきます 《写真:野添ちかこ》
そして、スイーツはフルーツと大根餅ぜんざいの2つ。
地元のおいしいもの三昧の楽しい夕食でした。

客室でも美肌の湯三昧

白いバスタブに注がれるのは、もちろん温泉。
夜も朝も、部屋から一歩も出ないで温泉三昧できるのは、客室に温泉が引いてある部屋ならではの醍醐味でしょう。

この日泊まった客室は2018年にリニューアルした温泉内風呂付きの和洋室。


温泉内風呂付き客室 和洋室 《写真:野添ちかこ》
全23室中9室に温泉がついていて、バリアフリールームも1室あります。
3本の自家源泉を持ち、300リットル/分(実際に使用しているのは200リットル程度)もの豊富な湯量がある宿だから、客室にある風呂も当然、温泉です。

源泉は60℃を超える高温のため、1つの蛇口は水と源泉の混合泉、もう1つは源泉そのまま。2つの蛇口をひねって、適温の温泉をストレスなくバスタブに注ぐことができます。


客室の内風呂も温泉 《写真:野添ちかこ》
泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉。無色透明ながらしっとりとキメを整え、ハリとうるおいのある肌をつくってくれる、いわゆる美肌の湯です。

せっかくならばと大浴場にも出かけてみました。


女性用大浴場 《写真:野添ちかこ》
女性風呂だというのに、周囲に建物がないため、2面のガラス窓は目隠しもなく、外の景色がバッチリと見えます。

40℃の寝湯、42℃の普通浴槽、41℃のジャグジー風呂があります。
40℃の寝湯で寝転んでいたら、あまりの気持ち良さにそのまましばし夢の中へ。
温度の異なる湯船を夜と朝で使い分けると良さそうです。

翌朝の朝食は、バイキング形式でした。
温泉水を使った「温泉湯豆腐」や、ひじき、わらび、ふきみそ、きゃらぶきの佃煮、ミズの含め煮、塩原高原大根と牛すじの煮物など、品数は少なめですが、その一つ一つが愛情をかけて作られているのが伝わってきて、嬉しくなりました。

ロビーには食後のコーヒーも用意されています。
私は最近、コーヒーが体に合わないと指摘されたためコーヒー断ちをしているのですが、コーヒーの横には、熱した温泉水もセットされていました。ラッキー。


熱した温泉水をコーヒーカップに入れて飲むことができます 《写真:野添ちかこ》
コーヒーカップに入れて温泉水をゆっくり飲むと、より体に効きそうな気がします。

口に含むと少し塩気を感じる、まろやかな味。体の中からキレイになりそうなワクワク感を感じながら、ありがたくいただきました。

「温泉水から始める一日」は、何かいいことが起こりそうです。

湯守田中屋

  • 栃木県那須塩原市塩原6
  • 全23室
  • 1泊2食 14,000円(消費税・入湯税別)〜
  • IN 15時/OUT 10時


写真と文・野添ちかこ(温泉と宿のライター/旅行作家)

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