■checkポイント■
≫≫≫ 創業100年を超える老舗の民宿
≫≫≫ マグロ尽くしの夕食がおいしい
≫≫≫ 素泊まりから1泊2食まで対応
≫≫≫ ロビーで飲み物サービス
オススメしたい方
【ひとり旅、グループ、家族】
マグロの珍味に酒が進む
那智勝浦の老舗民宿では、ボリュームたっぷりのマグロ尽くしメニューが味わえます。
「海の近くの民宿にやってきた」という満足感は、マグロの刺身と唐揚げだけで十分ですが、
さらに脂ののったカマ、マグロの卵、胃袋の煮物といった珍味まで出てくるのには驚きました。
勝浦漁港は、マグロの延縄漁法による水揚げ高が日本一。だからこそ、こんなに豪勢な夕食が味わえるんですね。
何度か世界遺産・熊野古道歩きにチャレンジしていますが、今回は中辺路の中でも最大の難所という「大雲・小雲取越」へ。スタート地点は、熊野三山の一社、熊野那智大社です。
那智の滝、青岸渡寺が隣接する熊野那智大社へ向かうバスは、紀伊勝浦駅から出ていて、駅から徒歩4分で行けるこの温泉民宿は前泊にもってこいなのです。
創業は明治40年。4代目が切り盛りする温泉民宿
家族経営の民宿ながら、なかなかに立派な建物です。
聞けば2015年に建て直して、今のようなスタイルにしたのだとか。
外国人客増にも対応して、館内の表記は5カ国語表記です。
4代目の小阪健司さんによると、「100年以上続く、勝浦では最も古い民宿なんです」とのこと。
5年前までは、外国人客は年に一度来るか来ないかと行った状況だったのが、ここ数年で一変し、スペインやオーストラリア、アメリカ、英国、台湾、中国など世界中からお客様をお迎えしています。現在、外国からのお客様は4分の1程度とのこと。
客室は、4.5畳、6畳、8畳、12畳の和室があり、一人旅から大人数のグループまでフレキシブルに対応してくれます。
共同のトイレ・洗面所はきれいですが、
男女一緒ですので、気になる人は客室内にトイレなど備えたデラックスタイプを選ぶとよいでしょう。
「浴衣200円」「バスタオル・タオルセット200円」など細かく刻んだ料金設定なので、必要なものだけ利用することができるのも民宿ならではの良さですね。
天然温泉だから、疲れがとれる
風呂は、家庭用のバスタブみたいな感じですが、しっかり、温泉が注がれています。
泉質は、pH6.6のカルシウム-塩化物泉。温度が低いので加温・循環していますが、しっとりとまとわりつくような肌触りでよく温まりました。
ウォーキングの前後に筋肉をほぐすのにちょうどよい泉質です。
那智駅近くの観光名所に、補陀洛(ふだらく)山寺があります。
ご本尊は、三貌十一面千眼観世音菩薩で、人々の苦悩を救ってくれるといわれています。ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として登録もされているお寺です。
さて、ここが注目を集めるのは、
「渡海(とかい)船」といわれる船が展示されているから。
「渡海」とは30日分の食糧と油を携え、生きながら観音浄土を目指す捨て身の宗教儀礼で、平安期から江戸期まで20数回の渡海があったと記録されているそうです。
不思議な宗教儀礼の話を聞き、「信仰とはなんだろう」と、考えさせられました。
温泉民宿 小阪屋
- 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町北浜1-18
- 全16室
- 1泊2食 8,000円程度〜
- IN 15時/OUT 9時30分
写真と文・野添ちかこ(温泉と宿のライター/旅行作家)