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子宝の湯で長湯三昧 〜元湯甲子温泉 旅館大黒屋(福島県)〜

湯船の真ん中に配置された石はその名も「子宝石」。
「この石をなでると子宝に恵まれる」と言われています。

“子宝の湯”と言われる温泉は往々にして長く入っていられるような「ぬる湯」が多いのですが、妊娠しやすくするには、男性も女性も長湯して体を温めるということがいいのでしょうか。

ここ福島県・甲子温泉「大黒屋」の大岩風呂は湯口から流れる源泉こそ43度くらいはありますが、足元から湧く湯は30〜34度くらい。季節によって違いはあるそうですが、「浴槽では大体39〜40度くらい」(3代目館主の草野正人さん)のぬるめの温度に保たれています。

浴槽がここにあるのは、そこに源泉が湧いていたから。 大黒屋の「大岩風呂」≪写真:野添ちかこ≫

プールみたいな大風呂!

そうなんです!
ここは足元の岩盤の割れ目からぷくりぷくりと泡が立ち上ってくる足元湧出の湯。自然の岩盤の上に湯船が造られているのです。

浴槽は5×15メートル。深さは約1.2メートルほどあって、ちょっとしたプールくらいの大きさです。

泉質はpH7.8、弱アルカリ性の単純温泉。
無色透明のさらりとしたクセのない温泉だから、一見、物足りないようにも思いますが、侮るなかれ。

20分も入っていると、額から汗がじわっと噴き出してきて、実は効能あらたかなお湯だということを実感できます。ぬるめの温泉だからこそ、ゆっくり、じっくり、お湯を堪能して、湯船の中を歩いてみたり、ストレッチをしてみたり、ぼーっとしてみたり、さまざまな過ごし方ができるのです。

しかし、この温泉、ハードルの高い! 無色透明なのに混浴です。

脱衣所も、男女一緒のスペースしかありませんから、女性にはこの上なく入りづらい浴槽ではありますが、人の少ない時間帯を選んでご夫婦で一緒に入ったり、女性専用時間(夜19〜21時と朝5〜7時)を狙ったり、工夫して、女性にもぜひトライしてほしいところです。

今回、私が出かけたのは2月25日に開催された「女性専用デー」。
女性専用デーは2018年から冬季にスタートしたもので、2019年は12・1・2月に3回実施したそうです(2018年は2回)。

この日だけは全館女性のみ宿泊。すぐに満館になってしまうので、気兼ねなく入りたい女性の方は、要チェックです。

女湯「櫻湯」。大岩風呂よりコンパクトな檜風呂ですが、こちらも湯船の中央に子宝石があります。「大岩風呂」が女性専用の時間は、こちらが男湯に ≪写真:野添ちかこ≫
さて、100段もの長い階段を下り、橋を渡った先にある大岩風呂は、いつからあるのでしょうか?
ご主人に聞いてみました。

開湯は600年以上前。
「大岩風呂はおそらく200年くらい前からある」(草野さん)そうですが、文献などには残っていないようで、ホームページには「150年の歴史」と記されていました。

現存する一番古い宿の写真は大正時代の頃の写真で、木造3階建ての旅館に多くの湯治客が訪れ、賑わう様子が写っています。

「昔(昭和の初期)は、湯船の上に4本の柱を立て、そこに屋根をかけていた」とのこと。大岩風呂の湯口のあたりにある岩は花崗岩が隆起して表出しているのですが、
以前は奥に入れるほどの半洞窟風呂で、湯温も60度くらい、温泉卵ができるくらいの熱い温泉だったそうです。そして、太古の昔、ここは海だったことを物語るように、大岩には貝殻などが付着しています。

湯口付近の岩をよく見ると、この地が昔は海だった形跡が残っているそうです ≪写真:野添ちかこ≫
温度が高い頃から「子宝の湯」だったのかどうかは定かではありませんが、白河藩主・松平定信公が別荘(現在、「別館 勝花亭」として残る)を構えていたというほどお気に入りだったわけですから、今も昔も多くの人を惹き付けてやまない魅力的な温泉だったことには変わりないでしょう。

さて、お風呂から出たら食事処で夕食です。
山の宿らしい素朴なメニュー構成でした。

山宿らしい素朴な料理 ≪写真:野添ちかこ≫
「わらびの一本炒め」や、豆の燻製、柿の白和え、こんにゃくの味噌田楽、あみ茸の菊花煮、もだし(ならたけ)と白菜の炒め物、煮物など。お刺身は川鱒と桜鱒、天ぷらはヤマメのアーモンド和えとフキノトウ、サツマイモなどなど。

福島の特選和牛は、下に温泉水を通し、余分な脂を落として食べられるような工夫がされていました。

白河のだるま作りに挑戦

さて、宿の客室に置かれたお茶菓子は、だるまの形をした最中でした。
白河は、だるまの産地でもあるそうです。

客室のお菓子はだるま最中≪写真:野添ちかこ≫
白河だるまは、「寛政の改革」で有名な松平定信公が、谷文晁(たにぶんちょう)に図柄を考案させたと言われる縁起物で、福島だるまや三春だるまに比べて丸いのが特徴。

「鶴、亀、松、梅、竹」の縁起物が顔の中に描かれています。

白河だるまの「福」にあやかろうと、だるま作り体験に出かけました。
向かったのは、白河だるま総本舗「渡辺だるま店」。
だるま作り体験(体験料:600円)ができます。


幸運をもたらす縁起物の「白河だるま」は一年の穢れを祓ってくれます ≪写真:野添ちかこ≫
見本を見ながら、口を描き、髭と眉毛を書き、金色で「寿」や「福」の文字を入れます。
「見本に囚われず、自由にだるまの顔を描いていい」とのことですが、筆の使い方が難しく、思ったようにはいきません。

それでも、なんだか楽しい気分になれるのはだるまから「福」をもらったから?
商売繁盛や高校・大学の合格、家族の健康など、何かを祈願したい時に、オススメの体験です。

元湯甲子温泉 旅館大黒屋

  • 福島県西白河郡西郷村真船字寺平1
  • 全16室(本館13室、別館3室)
  • IN 15時/OUT 10時
  • 1泊2食15,120円(消費税込・入湯税別)〜
  • 日帰り入浴 可(大人700円、10〜15時)

写真と文・野添ちかこ(温泉と宿のライター/旅行作家)

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