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元料亭、老舗ならではの味わい 〜清流荘 鹿門亭〜(熊本県・山鹿温泉)

800年ほど前に、手負いの鹿が傷を癒していたことから発見された山鹿(やまが)温泉。
さらに遡ること平安時代の文献『和名抄(わみょうしょう)』には肥後の国山鹿郡の「温泉郷(ゆのごう)」と書かれていることから、古くから知られる温泉場であったことがわかっています。

山鹿温泉というと、頭上に灯籠を乗せた女性が、よへほ節にあわせて踊る夏のお祭り「山鹿燈籠まつり」や国の重要文化財に指定されている芝居小屋「八千代座」が有名。
この宿は明治の頃は、「鹿門館」という料亭で、明治43(1910)年の八千代座の創立委員会をこの鹿門館で行ったということですから、まさに山鹿温泉とともに歩んできた宿といえるでしょう。

仲居さんと話をすると、「アクセスがあまり良くない」とのことでしたが、阿蘇くまもと空港からレンタカーで約40分程度でしたので、東京から訪れるなら、むしろ行きやすい温泉地という印象です。

今回宿泊した清流荘は菊池川沿いに立地しており、周辺を歩けば、かつて豊前街道の交通の要衝であり菊池川の水運によって栄えた町並みの一部を垣間見ることができます。

酒蔵や麹屋など米関連の店が立ち並ぶ、山鹿温泉の町並み ≪写真:野添ちかこ≫
酒蔵や麹屋、せんべい屋など米の集積地だった頃の名残りが残る町並みで、そぞろ歩きも楽しめます。「米米惣門ツアー」(600円、水曜日定休)という約1時間のガイド付きツアーもやっているそうです。

清流荘は、正面玄関からみて右側の棟が落ち着いた和室の「鹿門亭」、左側の棟がベッドルーム・全室露天風呂付きの「水鏡庵」という2棟から成っています。


2棟からなる清流荘 ≪写真:野添ちかこ≫

若手料理長が腕を振るう

「乙女の柔肌」といわれる山鹿の温泉はアルカリ性単純温泉。
無色透明の柔らかな泉質です。

女湯の露天風呂 ≪写真:野添ちかこ≫
ただし、大浴場は加温・循環・塩素ありの浴槽でしたので、とくに特徴は感じられなかったので、温泉は翌朝の温泉街の元湯「さくら湯」へ期待しつつ、夕食会場へと向かいました。
特筆すべきは水の美味しさ。水のきれいな土地柄ということもあって、湯上がりの一杯の水がこの上なくおいしかった!!
夕食は、さすが料亭から転身した旅館だと感心する料理でした。
京都で修行をしたという、地元出身の40歳の料理長が作る料理は、繊細で手間をかけた会席料理でした。

今回は「馬刺し付きプラン」を選んだのですが、たっぷりの馬刺しの量にまず感激します。
九州ならではの甘めのとろりとした醤油に、にんにく、しょうがはお好みで。

たっぷりの馬刺しで焼酎が進みます ≪写真:野添ちかこ≫
前菜は、牡蠣しぐれ煮、鮟肝オレンジ煮、ヤリイカのぬた和え。

吸い物の「揚げ海老芋鶴丸白味噌仕立て」は、ああ来てよかったとしみじみ感じる、ほっこりと優しい味わいです。

季節のお造りは、ブリ、タイ、カツオ。
薬味がゆず胡椒の利いた大根おろしとわさび、というのはちょっと変わっていますね。

清流荘の夕食一例 ≪写真:野添ちかこ≫
他にもローストビーフや豚しゃぶしゃぶ、さらには鮟鱇の唐揚げなどメインとなりうるお皿がいくつも供され、ボリューム十分。
熊本ならではの辛子レンコンもありましたよ。

あの温泉に似ている? さくら湯

翌朝は山鹿温泉の元湯、「さくら湯」(300円、6時〜24時、第3水曜定休〈休日の場合は翌日〉)へと出かけてみましょう。

ここ、どこかに似ている!
と思ったら、道後温泉本館を建てた棟梁が手がけたそうなんです。

「さくら湯」は今から約40年前にいったん取り壊されたものの、平成24(2012)年、明治の頃の唐破風の玄関をもつ雰囲気そのままを再現し、九州最大の木造建築の湯屋として生まれ変わりました。

平成24年に生まれ変わった「さくら湯」の外観 ≪写真:野添ちかこ≫
もとは肥後藩主、細川忠利公が作った御茶屋(参勤交代の際に休息、宿泊する施設)。
明治になると庶民が使う外湯として何度か改修が施され、明治31(1898)年の大改修の時には、道後温泉本館と同じ棟梁、坂本又八郎さんが招かれ、道後温泉と同じような唐破風玄関を備えることになったそうです。

この「さくら湯」の再建には、山鹿灯籠の技術が影響しています。
のりと和紙だけで作る山鹿灯籠は、金灯篭だけでなく建築物の模型なども作れるそうで、さくら湯を解体する時に作った模型のお陰で、現在のさくら湯の再現も叶ったとか。

さて、中に入ると、
伝統工法で組み上げられた木造建築の佇まいが見事です。
湯船の縁石には大理石が使われ、湯船の中に作られたコの字型の仕切りに頭をのせ、ゆったりと湯浴みが楽しめます。自然湧出していた当時の風情を再現し、足元から湯が投入されています。

ほのかな灯りで、レトロな雰囲気の広告看板が飾られていて、和める雰囲気。

温泉はというと、源泉かけ流しでつるつるとした感触。これぞ「乙女の柔肌」といわれる山鹿の泉質と納得できました。

源泉は3本あって、浴用と飲用とカランから出る湯の泉質がそれぞれ異なるそうです。

浴用はpH9.62、温度は40℃、
飲用はpH8.86で温度32.6℃、
カランはpH9.36で温度36.3℃。
温度は低めですが、湯冷めしにくく、15分も入っていればポカポカになりました。
さらに、今回は行きませんでしたが、狩野派の絵師が描いた天井絵「龍の湯」が描かれた、肥後藩主の御前湯だった「龍の湯」もありますよ。

「さくら湯」前の飲泉所で源泉を汲む人 ≪写真:野添ちかこ≫
さくら湯の前の飲泉所では、福岡・大牟田市からやってきたご夫婦が大量のペットボトルに源泉を詰めて持ち帰っていました。その方の話では、「何日経っても腐らない」そうで、1週間に一度、飲み水として汲みにきているそうです。

山鹿温泉の見どころは、重要文化財の芝居小屋「八千代座」(520円、9時〜18時、第2水曜定休)や、元銀行で、洋館風の登録有形文化財に灯籠作品が展示されている「山鹿灯籠民芸館」(210円、9〜18時)など。両方入るとお得な料金になる共通入館料(630円)もあります。

「山鹿灯籠民芸館」で金灯籠を頭にのせて記念撮影 ≪写真:野添ちかこ≫
山鹿灯籠民芸館では、女性限定で金灯篭を頭にのせて記念撮影してくれるこんなサービスもあって、楽しめますよ。

山鹿温泉清流荘

  • 熊本県山鹿市山鹿1768
  • 全31室
  • IN 15時/OUT 10時
  • 1泊2食 13,650円〜

写真と文・野添ちかこ(温泉と宿のライター/旅行作家)

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