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リウマチの名湯で一夜湯治 〜泉屋旅館〜(山口県・俵山温泉)

俵山温泉はひなびた雰囲気が漂う昔ながらの湯治場。

公共交通機関だけを利用して行こうと思ったら、新幹線からも空港からもなかなか行きづらく、陸の孤島のよう。時間が止まったようなノスタルジックな雰囲気もそんなアクセスの悪さが影響しているのかもしれません。

俵山温泉の街並み ≪写真:野添ちかこ≫
最盛期には40軒以上あった旅館数は今や19軒に減少し、家族で宿を切り盛りする小さな宿屋が肩を寄せ合って営業しています。

今回、宿泊したのは「泉屋旅館」。
JTB協定旅館の看板がかかっています。
通された客室は8畳+広縁の和室。

「湯治場だから、快適ではないかもしれない」と覚悟して訪れたのだけれど、部屋にはお茶セットもあるし、テレビもある。浴衣も丹前も、さらにはふかふかのタオルまであって、不便を感じることは全くありませんでした。

客室に必要なものは全て揃っていました ≪写真:野添ちかこ≫
トイレや洗面所は客室にはなくて、共同です。
でも、トイレは最新型のシャワートイレだし、誰も利用していないときを狙って行けば、誰かと鉢合わせすることはありません。

隣の部屋の話し声やテレビの音が聞こえてくるのは木造ならば致し方ないと割り切れば、ノープロブレムです。

共同湯「町の湯」は地元民の憩いの湯

さて、夕食前のひとっ風呂へ、温泉街の共同湯へと出かけました。
俵山温泉は、宿の中に風呂場がありません。
そう、外湯文化が残る数少ない温泉地なのです。

外湯が当たり前の俵山温泉では、内湯を持っているのはわずか1軒(山口屋別館)のみで、ほぼ全ての宿泊者が、浴衣姿で共同湯へと向かいます。その様がいかにも湯治場らしいということで、最近は若いカップルも訪れるようになってきたのだとか。

共同湯は、「町の湯」と「白猿の湯」の2つあり、使われている自家源泉はそれぞれ異なります。

「町の湯」の浴室には湯船が2つあり、手前がかけ流しの1号湯、奥の大きな浴槽が循環された2号湯です。2号湯の方が1.5倍くらい大きいのは、かけ流しにできる湯量が限られているからだそうです。

湯船は2つあり、手前が1号湯です ≪写真:野添ちかこ≫
夕方17時頃は地元のおばちゃんたちで混雑していて、1号湯の小さな湯船に6人ほどが入浴していました。私は2号湯に入りましたが、こちらも十分にいいお湯です。循環ろ過、加温ありというけれど、温度はぬるめだし、つるつる感が強い。どこまでもやわらかで、包み込まれるような、気持ちがいいお湯でした。

「温泉を肩に当てるといいよ」。
常連さんが、とっておきの入浴方法を教えてくれました。
温度が熱くないから、湯口のお湯をそのまま肩に当てるとちょうどいいのだとか。
1号湯の湯口付近が特等席です。

部屋食で一人宴会を楽しもう

夕食は、部屋まで運んでくれます。

「冷凍鹿肉は凍った状態で食べてね」。
おばちゃんにそう言われ、ルイベの鹿肉を生姜醤油でいただきました。

そのほか、鹿肉の鍋やえびの天ぷら、魚のお刺身など、湯治というには立派すぎる会席料理の数々。お酒を呑みながら、一人宴会を楽しみましょう。

夕食はジビエ鍋やえびの天ぷらなどがお膳に並びます ≪写真:野添ちかこ≫
お腹もいっぱいになり、この日は早めに就寝しました。
いつまでも湯冷めせず、夜中に目が覚めることもなくぐっすり眠れたのは、俵山温泉のパワフルなお湯のお陰かもしれません。

翌朝は、一番湯を目指して、朝早くに共同湯「町の湯」に向かいました。
湯は無色澄明ですが、前日の夕方よりも、お湯が澄んでいました。
肌を触るとぬるぬる具合が違います。

一番湯だからこその、感動的なぬるぬる具合でした。
ところで、ここの湯はまろやかで、湯の質がすごくやわらかいのが特徴。

40度くらいのぬるめの温度にも起因しているのだと思うのですが、温度が低い割には、よく温まります。10分も入ればよく温まり、それ以上経つと湯あたりを起こしそうなくらいクラクラするので、朝湯も早めに引き上げました。

昼間出会ったおばちゃんが、「うちの主人が見たんだけど、80歳くらいのおじいちゃんがお湯から上がって、クラっときたのか、頭をガンガン壁に打ってるのよ。とにかくすごい強い泉質だから」と興奮気味に話してくれました。

お宿の人も、「強い泉質だから15〜20分も入れば十分。それ以上は入っちゃダメ」と言っていたけれど、入れば「確かに」と合点がいきました。泉質はアルカリ性単純温泉。pH9.9とはいえ、強い泉質というイメージはありませんでしたが、10分で十分によく温まり、15分入るときついくらいです。

飲泉は備え付けのコップでいただきます。やわらかくて、まあるい味。口中に硫化水素の名残がかすかに残ります。

この温泉地は松田忠徳氏の監修による水素含有をうたっていますが、松田忠徳氏の『温泉はなぜ体にいいのか?』(税別2,300円)も販売されていました。

お土産は「三猿饅頭」!

さて、開湯1100年の歴史ある俵山温泉は、薬師如来の化身の白猿によって発見されたと伝わる温泉地。だから、温泉饅頭も「白猿」をモチーフにした「三猿饅頭」です。

この饅頭は昭和26年から焼いているものだそうで、中にはこしあん。「見ざる、言わざる、聞かざる」の3種類があって、14個入りで500円。安いです。5日は日持ちしますので、温泉土産に最適です。お味の方も甘さ控えめで、すごく美味しいですよ。

焼きたてはふわふわです ≪写真:野添ちかこ≫
以前は3軒あった饅頭屋さんも2軒潰れてしまって現在は1軒のみ。お母さんと息子さんとおばあちゃん、3人で多い時には800個も作っているとか。

ひなびた温泉でかわいい猿の形をした饅頭をパクリと食べれば、何だか、心まで温かくなってくるようです。

俵山温泉 泉屋旅館

  • 山口県長門市俵山5139
  • 全12室
  • IN 14時/OUT 10時
  • 1泊2食 9,180円(消費税・入湯税込)〜
  • 日帰り入浴 可(町の湯6〜22時、430円)

写真と文・野添ちかこ(温泉と宿のライター/旅行作家)

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