温泉ワンダーランドへようこそ 〜中房温泉〜(長野県)
浴槽は、なんと16カ所。
1泊しただけではとても回り切れそうにありません。
中房温泉は北アルプス、燕岳の登山口にある一軒宿で、温泉の質と量はピカイチの山宿です。
源泉数は29本以上!
「源泉は保健所に届けているだけで、29本あります」と話すのは、社長の百瀬孝仁さん。
保健所が数えていない源泉も含めるともっとたくさんの源泉があるのだといいます。
地図を片手に湯めぐりへと出かけると、源泉の温度を下げるための仕組みがところどころに見受けられます。
中房温泉では15年以上前には90℃以上ある源泉を沢の水で薄めていたのですが、温泉を空気に触れさせたり、温泉管を水の中に通すことによって温度を下げ、水を加えずに減温しています。その結果、アルカリ性の温泉がもつつるつるとした感触をそのまま楽しむことができるのです。
中房温泉の特徴的な温泉をご紹介しましょう。
まず、大正9年に造られたという「温泉プール」。
なんと、登録有形文化財に指定されています。石でできていて、源泉かけ流し。プールではありますが、水着で入っている人はあまりいないそうで、月あかりの中、裸で入ると気持ちいいぬる湯の大きな浴槽といった塩梅。造られた当時は浅いプールだったそうですが、大正12年に深くしたそうです。
「白滝の湯」「菩薩の湯」「月見の湯」といった混浴の野天風呂は、囲いもほとんどなく、簡易な脱衣スペースがあるだけなので、ちょっとドキドキしますが、山奥の宿ならではの開放感が醍醐味です。ぼんやり、のんびり、自然との一体感を味わえます。
3年ほど前にできた杉材をつかったお風呂で、正面玄関を出て駐車場の方に下って行った右手にあります。根羽村の杉を使っているから「根羽の湯」という名前がついたそうで、フロントで鍵を借りて入ることができる貸切風呂です。
この地熱浴場は他ではなかなか見られません。
地熱で温められたウッドデッキの上にむしろを敷き、毛布にくるまると背中からジワリジワリと地熱の温かさが伝わってきて、全身がゆっくりと蒸されていきます。
夜に行けば星空を、早朝は朝焼けを見られるのですが、宿泊した翌朝は雨に降られてしまったため、朝焼けは叶わず。次回、またチャレンジしてみたいところです。
地熱蒸しのローストビーフ
夕食のときの別注メニューでおすすめなのが、地熱蒸しの「ローストビーフ」。
中房温泉の敷地の一角、歩いて15分ほどの距離に「焼山」という地熱地帯があります。
いわゆる地獄地帯。もくもくと噴煙があがっているその風景にもびっくりしますが、卵やじゃがいもを持参して地熱蒸し料理をつくることができる、その面白さにははまってしまう人も多いのではないでしょうか。
夕食の別注料理として人気なのが、この地熱で蒸した「ローストビーフ」と「ローストポーク」。シンプルな調理法ゆえ、素材の旨みが凝縮されていて、お酒のお供にちょうどいい。 お酒を呑まれる方にはおすすめです。
「新館」といえど、館内の廊下にぶら下がり健康器が置いてあったり、どこか懐かしさが漂う山宿。
「とにかく温泉を満喫したい」人にうってつけです。
中房温泉
- 長野県安曇野市穂高有明7226
- 本館・新館あわせて50室
- IN 15時/OUT 10時
- 1泊2食(1室2名利用)新館一人14,190円(トイレなし)〜、18,510円(トイレあり)〜(消費税・入湯税込み)
- 日帰り入浴 可(湯原の湯のみ700円、9時30分〜16時)