落合楼村上 ~和の伝統建築で美肌の湯と美食三昧~
滔々と注がれる湯は、しっとりすべすべになる“美肌の湯”。
カルシウム成分が豊富で、“皺のばしの湯”ともいわれる泉質だからこそ、ご婦人方に人気の宿なのかもしれません。
ここ「落合楼村上」は、明治7(1874)年、湯ヶ島で金の採掘をしていた足立三敏という事業家が「眠雲楼」と称する旅館を建てたのが始まり。その後、明治14(1881)年に逗留中の山岡鉄舟が 、本谷川と猫越川が合流する様を宿の庭から眺め、「落合楼」と命名、「眠雲閣落合楼」となりました。
現在の建物は昭和8(1933)~12(1937)年に建築されたもので、国の登録有形文化財に指定されています。北原白秋、川端康成、島崎藤村がかつて逗留したとのことで、談話室に置かれた作家自 筆の原稿を眺めれば、往時といまとを結ぶ時間軸があいまいになり、その時代を生きた人々と空間を共有しているような不思議な錯覚に陥ります。
ここは有形文化財の宿。
客室の欄間彫刻や大広間の紫檀の柱が特徴的ですが、館内を散策すると、アーチ形の飾り窓が木製だったり、襖の引き手が低めに設えてあったり、共同の和式のトイレが残されていたり、古い日本家屋ならではの風情がそこかしこに感じられます。
早速、貸し切りの露天風呂へ。予約をすれば40分間、入ることができます。仕切りをすれば立派に男女別露天風呂が作れるくらい広々としています。バスタオル・タオルも置かれているので手ぶらでどうぞ。湯口には白いカルシウムの結晶がこびりついていて、無色透明の湯ながら温泉の成分の濃さを感じます。源泉かけ流しですが、寒いときのみ加温、暑いときのみ加水はされているよ うです。
昼間はタイル貼りの楕円形の浴槽のある「モダンタイル風呂」が女性用。
温度はぬるめで、タイルの感触が心地よく、レトロモダンな雰囲気に癒されます。
木枕はないけれど、縁に手をのばし、頭とかかとだけをつけて身体を浮かせれば、気持ちのよい浮遊浴ができます。
溶岩でできた洞窟風呂
夜に女湯になる浴室は、溶岩でできた「洞窟風呂」とその先に続く露天風呂「天狗の湯」。
湯けむりの中、奥へ奥へと歩みを進めると、滝のように流れ落ちる湯口から熱い湯が注がれ、左手には露天風呂へと続く出入口がありました。
「夜の洞窟風呂は怖いイメージがありますが、薄暗がりが案外落ち着けて、なかなか風情があります。朝は一転、太陽光が射しこみ、神秘的な雰囲気に。
かつて、天城の天狗が人目を忍んで訪れたと伝えられる渓流沿いの露天風呂。5月後半~は蛍が見られるそうです。
“〇〇さんの”! 生産者がわかる地場食材が目白押し
「こちらは細井さんがつくった無農薬の人参を使っております」
「富士山のふもとで育った朝霧高原で岡村さんが育てた岡村牛です」
産地のみならず生産者の名前が紐づいた素材を使った料理の数々が並びます。
どれも早春の香りを一足先に届けてくれるメニューでした。
この日出てきた前菜のお皿はなんと11品!
「先付がイノシシ肉というのも斬新です。
処理の仕方なのか、調理の仕方なのかはわかりませんが、お肉は臭みもなくやわらか。豆乳ソースが口の中に広がって、やさしい味わいでした。
お造りは春の桜をイメージさせたかわいらしい盛り付けです
3月、伊豆の春はもうすでにそこにありました!
落合楼村上
- 落合楼村上
- 静岡県伊豆市湯ヶ島1887‐1
- IN15時/OUT10時
- 15室
- 1泊2食(1室2名利用時)一人2万8,000円(税別)~
- 日帰り利用 不可