玄関脇に人力車の置かれた新井旅館に一歩入れば、そこは国の有形文化財に登録された歴史ある建物群。明治5年創業の伝統を持ち、桂川に沿って建ついくつもの建物の佇まい、建物をつなぐ渡り廊下、桂川の水を引き込み、また桂川に戻しているという広大な池、けやきの大木や多くの樹木に囲まれた庭園、ロビーの天井にまで明治、大正、昭和の息吹きを感じる。 客室も一部屋ごとに造りが違うが、いずれも桂川か庭に面した落ち着いた雰囲気。昨今流行の露天風呂付ではなく、足湯付の客室があるのも、新井旅館ならでは。浴衣姿で足湯につかり、対岸の竹林の景観を愛でながら、静かな語らいの時が持てるのも嬉しい。 新井旅館の全16棟のうち、15棟は国の有形文化財に登録されている。その中で旅の一夜を過ごすことは、まさに望外の喜びといえよう。
新井旅館の大浴場は「天平大浴堂」と称される。安田靫彦(ゆきひこ)画伯のアイデアと考証設計によって建てられた浴堂は、天平時代そのままの工法で釘を1本も使わず、3年の歳月をかけて造られた。柱の土台となる巨石、日本に大きな檜がないのでわざわざ台湾から取り寄せた基本の柱、どれをとってもそのスケールと美しさに目を見張る。この大浴堂も文化財に登録されているが、良質の温泉と荘厳な空間に身を委ねるひとときも、ほかでは味わえない最良のものである。 新井旅館にはこのほかに「あやめの湯」や野天風呂「木洩れ日の湯」もあるが、天平大浴堂には必ず入ることをお勧めしたい。
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