創業が明治3年の仙郷楼は、1万5千坪という広大な屋敷の中にあり、箱根外輪山の眺望が素晴らしい老舗である。入口から玄関に至るスロープはさまざまな木立や木々に囲まれて、敷地の広さを実感させてくれる。ここでは独自の「仙郷楼 散歩道のご案内」を発行し、四季折々の花々を愛でながら一周できるコースの紹介もしている。手入れの行き届いた庭園や、滝、年月を重ねた木立、野に生きる草花が存分に楽しめる適度なアップダウンの散歩道は、自然派のミドル層に根強い人気があり、リピーターが多いのもうなずける。圧巻はやはり花々が咲き乱れる4~5月ごろ。新緑が山々をうすく染める春、おおむらさきつつじが遅い目覚めからさめると山桜が庭園のあちこちで咲きほころび、しゃくなげ、藤、つつじ、姫しゃら、はぎ、と花の競演が続くさまは見事。ぜひ、花の時期に訪れたい。
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