現存する宿としては道後温泉でもっとも古い歴史を誇る。その存在は、多くの著名人や文化人にも一度は泊まってみたい宿として羨望の的だった。明治27年(1894)松山に教師として赴任した年の秋、夏目漱石は念願を果たし「はじめての 鮒屋泊りを しぐれけり」と句にしたため、正岡子規や高浜虚子ら松山ゆかりの文人も多く訪れ、また皇室御用達の宿ともなった。その輝かしい歴史はいまなお、ふなやの伝統として受け継がれている。
1500坪の敷地を占める宿の多くの部分が日本庭園に割かれ、宿の建物はこの庭園をとりかこむ形で本館と南館が建てられている。日本庭園は夜にライトアップされ、明治時代に建てられたという茅葺きの庭門が幻想的な雰囲気を醸しだしているのもまた、この宿の格式と伝統を物語っているかのようだ。緑の多い日本庭園は多くの客室や浴場、ロビーに続くガーデンテラスなどからも美しく望め、訪れる人に安らぎを与えている。
日本庭園の敷地内を流れる川は、人工の川ではなく、自然のままの御手洗川だ。旅館の庭園内とも思えないほど、流れはけっこう急だ。正岡子規が「亭ところどころ渓に橋ある紅葉哉」と詠んだのは、本館と別館をつなぐ「もみじ橋」あたり。浴場は南館の2階と3階に設けられており、本館に泊まった人は風呂に入りに行くたびに、子規が詠んだ情趣を味わうことができる。夏にはホタルが舞う清流脇には、風流に食事が楽しめる川席がある。
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