同じ戸倉上山田温泉にあるホテル亀屋本店の貴賓館として、昭和56年に建てられたのがこの宿。当時の社長が各地を回って銘木を選び、数寄屋造りを得意とする設計事務所に依頼して建築した。平屋を基本に一部2階建て。8つある部屋の床柱は松の間にアカマツ、竹の間に竹を使うなどすべて異なる。館内の静寂を保つためにドイツ製の防音ドアを用いるなどの配慮もしている。豊かな緑の庭を望むロビーは、そんな宿の入口にふさわしい。
浴室は内湯と露天風呂のある男女別大浴場のほか、5つの客室に露天風呂があり、さらに貸切露天風呂もあって、1階にある浴槽の数は合計10ヶ所。豊富な湯量を持つ宿のため、そのすべてが源泉掛け流しだ。毎日湯を抜き、毎日清掃。大浴場の総檜風呂もよく掃除が行き届き、こなれた浴槽の木の感触が温泉でやわらいだ肌に気持ちよくなじむ。もう一つの露天岩風呂とともに男女が交互に大浴場として使い、午前1時に入れ替わる。
夕食は信州の食材を中心に、海の幸を取り混ぜてコース作りをする懐石料理。食事の進み具合を見ながら、作りたての料理を一品ずつ運ぶ。客室係と板前との連携を密にして、8つの客室に目配りする。中ほどに出る信州牛のサイコロステーキは焼き加減と塩加減が大切な人気料理だ。献立は毎月少しずつ変わり、2ヶ月ごとに大きく変わる。朝食は焼き魚、出汁巻きたまごなど伝統的な和風の食事。丁寧な出汁のとり方が真骨頂だ。
温泉街の中心地を離れた、小さな隠れ家です。8室だけの静かな宿なので、ご自宅の別宅のような気分でおくつろぎください。私たちもアットホームな雰囲気づくりを心がけております。(帳場係の宮本貴美子さん)
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