湯田中温泉の発祥地・大湯に隣接して建つ寛政12 (1800) 年創業の老舗旅館。鉄筋8階建てに28の客室がある本館、昭和14年建築の数寄屋造りの「松籟荘」、さらに道路を挟んだ向かいにアネックス湯楽庵の3棟で構成されていて、湯田中でも随一の規模を誇っている。特に「松籟荘」の客室は書院造りや茶室付きなど贅を尽くした設えで、日本情緒に浸って一夜を過せる。その一方でアネックス湯楽庵はセルフサービスを取り入れたB&Bスタイル。予算や目的に応じてさまざまな滞在が選べる。
この宿に滞在する最大の喜びは、登録有形文化財にも指定されている桃山風呂に入れること、そう言い切っても過言ではない。桃山調の書院造りに天平や鎌倉様式の梁や枡組を配した伽藍建築の桃山風呂は、見事な格天井の内湯と大小の名石に囲まれた大野天風呂からなる大浴殿。建築技術の粋を尽くした中での湯浴みは、この上ない贅沢だ。このほか大理石を敷き詰めた東雲風呂もあり、桃山風呂とは22時で男女が交替する。アネックスには貸切風呂も1ヶ所ある。
200年を超える歴史ある宿だけに、館内にはいたるところに貴重な美術品や歴史的見どころが詰まっている。「松籟荘」や桃山風呂など貴重な木造建築や、そこに展示されている書画・骨董の数々をスタッフの説明付きで探訪できるのも宿泊客の特典だ。狩野探幽の「錦鶏鳥」、伊藤博文の大幅書、池大雅の「夏木垂陰の図」などを見ながら約30分の館内お宝探訪ツアーは参加無料。担当者が不在の時もあるので、まずはフロントで確認を。
北信濃の幸を盛り込んだ夕食の後は、当館自慢の大浴場や露天風呂をご利用いただくのはもちろん、館内のお宝を見学されたり、毎月2回開催されるロビーコンサートを楽しまれたり。どうぞのんびりと温泉旅館の夜をお過ごしください。(本館若女将の小野恵子さん)
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