温泉街の中心で、鶴仙渓に張り出すような抜群のロケーションにある。鎌倉時代に再興された際に設けられた湯元12軒のうちの1軒を祖先とし、現館主で35代目を数える山中温泉を代表する老舗宿だ。川岸に建つ8階建ての宿だが、玄関ロビーのあるフロアは5階にあるので、川底に面した階のほうが多いことになる。8階建てながらゆったりした間取りの12.5畳が中心で、客室数は52室に抑えている。露天風呂付き客室の流行を追うこともなく、唯一ある貸切大浴場は元の女性用大浴場をそのまま利用したもの。おおらかな懐の深さで、日本旅館の伝統的なもてなしのスタイルを頑固なまでに守りとおしている。
現在の山中温泉の湯は集中管理で各宿に配湯されているが、湯元旅館だけにこの宿に引かれている湯は毎分90リットル。これが1階の鶴仙渓に面して設けられた2つの大浴場と露天風呂、貸切大浴場に注がれている。源泉掛け流しではないものの、湯口から間断なく新鮮な湯が注がれる放流循環併用式を採用。広々と開放的な大浴場、渓流がすぐ目の下にせまる渓流野天風呂はすばらしい。悠揚とした雰囲気が漂う老舗旅館ならではの寛ぎの時間を満喫することができる。
食事は朝晩とも部屋食を貫き、温かいものは温かいうちに冷たいものは冷たいうちに、頃合いを見て一品ずつ部屋に運ぶ。伝統的な日本旅館のおもてなしの形だ。そういえば、この宿の客室はすべて和室で、特別室とか和洋室、洋室がないどころか、2間つづきの部屋も3室だけ。開湯1300年の名湯に浸かり、心づくしの料理を味わい、あとはみな平等に、せいぜい部屋の広さが少し異なるだけの畳の上に寝転ぶのが日本の温泉旅館の王道だ、とあらためて教えられるような気になる。
当館はこれといった珍しい施設は設けておりませんが、温泉にのんびりと浸かり、ゆっくりと料理を味わい、そして心地良く眠っていただき、明日への英気を養っていただきたいと存じます。それが老舗としてのおもてなしではないか、と心得ております。(若女将の田向真木子さん)
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