門から打ち水された石畳を歩くだけでたちまち濃厚な日本情緒に包まれ、特別な空間に誘われていくことを体感する。数々の貴重な美術品や広大かつ風雅な庭園に囲まれた中に、客室はわずか10室。中でも昭和15年に別荘として建てられた離れの聚楽第は、日本建築の粋を凝縮した豪奢な2階建て特別室だ。近江八景を彫り込んだ欄間や栗の一枚板の縁側など、建物全体が一つの芸術作品のよう。庭に臨む専用の露天風呂で本物の癒しを味わいたい。
庭園に面した本格書院造りの聚楽第
湯上がりに鑑賞したいのが、1階にある土蔵を改装した九谷焼ギャラリー「あーとさろん」。当館の歴代館主がコレクションした九谷焼の逸品を常時20点ほど展示している。九谷焼を復興させた吉田屋窯の名品から、現代作家の作品まで、幅広いコレクションには思わず目を見張るほど。九谷焼の歴史を解説したコーナーもある。このほか館内にはピカソや横山大観、鈴木華邨などの美術作品もあちらこちらに展示されている。
重厚な扉の奥に九谷焼の名品を展示
館内の大浴場は1階にあり、内湯と庭園露天風呂からなる「月かげの湯」と内湯のみの「川かぜの湯」の2か所。21時頃に男女が入れ替わるので、趣の異なる風呂を両方楽しむことができる。特に「川かぜの湯」は名勝・鶴仙渓とあやとり橋を一望する眺めがすばらしく、内湯だけとはいえ窓を開け放てば露天風呂に負けない開放感が味わえるのが魅力だ。このほか、かなり大きめの貸切風呂があり、予約なしでいつでも無料で利用できる。
窓越しの景観がすばらしい「川かぜの湯」
地元でとれた旬の食材を使い、懐石料理に組み立てております。時には古くから伝わる加賀の郷土料理や調理法も用いて、九谷焼や山中漆器を随所に使った料理と器を楽しんでいただいております。(料理長の三谷修司さん)
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