山中温泉街から大聖寺川の上流沿いに車で約5分、国指定の天然記念物「栢野の大杉」で知られる栢野地区に一軒宿の風情で建つ。建物は5階建てだが、川岸の斜面に建っているので玄関ロビーは2階部分にある。以前はこおろぎ橋畔で「百華苑」として営業していたが、平成元年に豊富な源泉を得て当地に移転。「花つばき」と改称した宿だ。1~2階は宴会場や大浴場、クラブ、カラオケバー、味処、土産処、コーヒーコーナーなどのパブリックスペース。3~5階が奥山中の自然美を望む客室フロアで、計50室ある。
自家源泉の湯量は毎分526リットル。ちょっとした温泉地の総量に匹敵する湯量を、この宿1軒だけで使っている。風呂の数も豊富で、いずれも男女別の大浴場、内湯付き露天風呂のほか、話題を呼んでいるのが神仙峡と呼ばれる大聖寺川の河畔に造られた野天風呂「源泉の湯畑」だ。専用エレベーターと階段で下りた河畔には男女共用の大小6つと女性専用2つの湯船が設けられている。男女共用の湯船は男女とも専用の湯浴み着が用意されており、安心して温泉三昧のひとときが過ごせる。
団体客以外の食事は、朝晩ともすべて客室に運ばれる。夕食の献立は北陸の海・山の幸を中心とした会席料理で、内容や器は月によって替わる。調理長の裁量によって季節の素材に合わせた献立が毎月替わるので、訪ねるたびに新鮮だ。ちなみに、水無月の献立には、火の物「鱧しゃぶしゃぶ山椒仕立」、冷鉢「鰻冬瓜博多、小芋ゼリー寄せ」、焼物「米茄子田楽味噌焼」などがあったので、各地から旬の素材を取り寄せているのがうかがえる。
混浴の湯畑には専用の湯浴み着がありますので、ご家族でも気楽に楽しめると喜んでいただいております。緑に囲まれた美しい自然環境と温泉で癒され、元気になってお帰りいただければ、と願っております。(若女将の嘉野典子さん)
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