開湯1300年の古湯で湯めぐり ~西山温泉(福島県)~

今年開湯1300年を迎えた、福島県・西山温泉で湯めぐりへ。

ここの「湯めぐり手形」は何個もコレクションしたいほどかわいいんです♡

思わず合点!? 格言付きの「湯めぐり手形」

湯めぐり手形を作っているのは、町の絵手紙クラブに所属している方々とのことですが、これがすごい!

よく見る「湯めぐり手形」は同じ印刷や焼印が施されているものが多いですが、こちらは一つ一つ違うもの。

手作りで味のある湯めぐり手形 ≪写真:野添ちかこ≫

胸にグサリと刺さる名言・格言ばかり≪写真:野添ちかこ≫

「すみれはすみれらしく わたしはわたしらしく」とか、

「いいかげんは良いかげん」とか、

「まだ何とかなると思っているうちは何とかなる」とか、

心に染み入る名言・格言が記されています。しかも、水彩を施したイラストがとっても素敵。

湯めぐり前のテンションも自然と上がります。

私の手元にやってきたメッセージは・・・

「動かないと始まらないよ」。

がーん!

当たり前といえば当たり前のことですが、こういう類の名言・格言はなぜか自分にぴったりのものが引き寄せられるから不思議。ダラダラ、のんびり、怠け者な私にぴったりのメッセージなのでした。

桐の間伐材を使った湯めぐり手形は一つ一つ大きさも形も違います。1枚1000円で購入すれば柳津、西山温泉の全11軒の宿のうち3軒に入浴できて、発行から6カ月間有効。旅館のフロントで手形を出すとスタンプを押してくれます。

全湯制覇すれば、なんと認定証と記念品までもらえるという特典つきです。

 いざ湯めぐりへ

西山温泉は滝谷川(たきやがわ)沿いに8つの源泉が湧き、5軒の宿と日帰り入浴施設が点在する温泉地。最初の「神の湯」(現在は草むらのみ)と「下の湯」(現在は日帰り入浴施設)が養老元年(717)年に発見され、今年1300年を迎えました。下手な観光地開発とは無縁で、日本の田舎らしさ、ふるさとの原風景が残る古湯です。

 滝の湯旅館


日本秘湯を守る会の会員宿で、只見川へと注ぐ、滝谷川のそばに立っています。

「滝の湯旅館」の源泉は食塩泉では非常に珍しい、つるつる、ぬるぬるする泉質でした。

露天風呂に注がれるのは、荒湯源泉、pH6.5の含硫黄-ナトリウム-塩化物泉で、42~43℃くらいとちょっと高めの温泉でした。透明の湯に、よく見ると硫黄分など湯の花がケシゴムのカスのように漂っていました。つるつるする感触で、夏のふ抜けた体に喝を入れるさっぱりとしたお湯でした。セミの鳴き声、虫の音、川のせせらぎが聞こえ、小さな滝と源泉がゆるやかに流れる川の対岸に見える、のどかな露天風呂でした。

対岸に小さな滝と源泉を望む露天風呂 ≪写真:野添ちかこ≫

対岸に小さな滝と源泉を望む露天風呂 ≪写真:野添ちかこ≫

一方、内湯はpH7.2のナトリウム-塩化物泉でこの日はささ濁り。日によって濁るときとそうでないときがあるそうです。

「最初は表面をしっかり湯もみして、混ぜてください。熱ければ水を入れてください」。

滝の湯の女湯と外観 ≪写真:野添ちかこ≫

滝の湯の女湯と外観 ≪写真:野添ちかこ≫

女将さんの案内通り、源泉温度79.4℃のお湯はそのままでは入れないくらい熱くて、すぐにホースで水道水を入れることに。メタケイ酸も多く(140㎎/㎏)、成分総計は5.416g/㎏。湯はねっとりと肌にまとわりつくような良泉でした。

滝の湯

  • 福島県河沼郡柳津町大字砂子原字長坂829
  • 全10室
  • IN 15時/OUT 10時
  • 1泊2食12,500円(消費税・入湯税別)~
  • 入浴料:500円

旅館 中の湯

男女別の内風呂に源泉「杉の湯」、別館の湯小屋の檜風呂に源泉「中の湯」、露天風呂には源泉「荒湯」と、含硫黄-ナトリウム-塩化物泉と同じ泉質ですが、それぞれ異なる源泉が引かれています。

源泉は70℃超えの高温のため、どうしても小さな浴槽では加水が必須となりますが、別館の檜の浴槽は10名ほどが入れるくらい大きい湯船のせいか、あるいは誰かがすでに薄めていたかは不明ですが、ゆったりと長く入れる温度でした。

中の湯にて。カメラマンの坂本晶子さんに撮っていただきました。左は井門観光研究所の山田祐子さん 

中の湯にて。カメラマンの坂本晶子さんに撮っていただきました。井門観光研究所の山田祐子さん(左)とご一緒に ≪写真:坂本晶子さん≫

印象に残るのは、木造で天井の高い湯小屋の造り。混浴なので宿泊者以外はちょっと入りにくいかもしれません。

古くから、ぜんそく、皮膚炎、やけどに効能ありとされてきました。

入浴料:本館内風呂500円、別館檜風呂・露天風呂800円

 下ノ湯

木製のつり橋って、かなり希少。

その吊り橋を渡った先に、それはのどかな光景が広がっていました。かつては旅館だったけれど、いまは日帰り入浴のみ。おばあちゃんが一人で対応しています。

吊り橋の先の・・・ ≪写真:野添ちかこ≫

吊り橋の先の・・・ ≪写真:野添ちかこ≫

湯舟は一つだけ。脱衣所も一つ。混浴なので、他の人が入っている場合、女性にはなかなかにハードルが高いお湯です。

泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物泉で、皮膚炎のほか、ノイローゼなどによいとか。かつては精神病の人が療養に来ていたこともあったそうですよ。

入浴料:400円

老沢温泉旅館

前回のコラムでも紹介しましたが、ひなびた趣の浴室に、温泉神社(神祠)があります。冬、雪に埋もれてしまわないようにと考えられた、雪深い土地ならではの知恵ですね。

病気治癒を祈願した奉納旗がいくつも掲げられていました。

3つ並んだ湯船の向こうに神祠が祀られています ≪写真:野添ちかこ≫

3つ並んだ湯船の向こうに神祠が祀られています ≪写真:野添ちかこ≫

古くから、ここは「たん切りの湯」として知られ、ぜんそくの人が多く訪れたそうですが、湯治に詳しい先輩ライターの竹村節子さんによると、「昔は浴場の窓際に廊下状の板敷きがあって、喘息の人などは布団を持ち込んで、一晩中湯気を吸っていた」とのことです。温泉の蒸気が呼吸器系によいのですね。

今では湯治客自体が少なくなっているようですが、それでも秋・冬には自炊湯治に訪れる常連さんもいるようです。

★★★★★

開湯1300年のメモリアルイヤー(2017年6月15日~12月15日)にはさまざまな特典が用意されています。

こちらがおさんぽ手帖 ≪写真:野添ちかこ≫

おさんぽ手帖 ≪写真:野添ちかこ≫

その1) 「おさんぽ手帖」利用で、6軒のうち3軒利用で西山中学校プロデュースの「ひしストラップ」(子供の「3」のつく歳や受験・成人・出産などがうまくいくように願って地元の観音堂に奉納されるつるし雛に似た民芸品)をプレゼント。

その2) 期間中に旅館に宿泊し、アンケートに答えた人のなかから抽選で100名に1300年記念のオリジナル風呂敷をプレゼント。

その3) 只見線利用者がJR会津柳津駅から西山温泉までワンコイン(500円)で往復できる送迎タクシーを利用できる(要予約)。

お問い合わせは、西山温泉組合事務局(滝の湯)TEL 0241-43-2311。

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