オープンキッチンという魔法 ~野の花山荘(岐阜県)~


最近、女性の一人旅がもてはやされるようになってきましたが、宿が一人旅に対応するにはどこか無理をしている感が否めません。

ある宿では、一人旅の女子が全員同じ向きに整列するかのように座って黙々と目の前の皿を平らげていたり、別の宿ではパーテションの仕切りの中、独りぼっちのご飯タイム(これがだいたいのところ、普通?)…。ちょっと淋しい思いをするのは一人旅の宿命だからしょうがない?

「いつも人に囲まれているから一人がいいの。放っておいて」

なんていうキャリアウーマンもいるでしょうが、やっぱり、旅の醍醐味は見知らぬ誰かとの一期一会。コミュニケーションできる旅の方が何十倍もいいに決まっています。

そんなことで、今回泊まった野の花山荘ではいつもの一人旅とは全く異なる体験をさせてもらいました。何が違うかといえば、≪オープンキッチンの魔法≫です。

北アルプスを望む、中部山岳国立公園内に建つこの宿の敷地面積は約1万2000坪。暖炉のあるロビーから正面に、錫杖岳が望めます ≪写真:野添ちかこ≫

北アルプスを望む、中部山岳国立公園内に建つこの宿の敷地面積は約1万2000坪。暖炉のあるロビーから正面に、錫杖岳が望めます ≪写真:野添ちかこ≫

自然と会話が生まれる宿とは

「オープンキッチンの宿だから、お客さん同士が話してくれて和気あいあいとした雰囲気なんです」という話は宿の人から事前に聞いていたのですが、なんとなく、ほんわかしたムードが漂っているくらいにしか思っていませんでした。
いざ、夕食の時間を迎えてみると……。

オープンキッチンなのでスタッフとも気軽に話せる ≪写真:野添ちかこ≫

調理場との距離が近いオープンキッチンスタイルなのでスタッフとも気軽に話せます ≪写真:野添ちかこ≫

オープンキッチンのカウンターには2名連れ、3名連れのお客様が座り、さらにはテーブル席も満席。

それぞれが夕食を楽しむ光景はほかの宿と同じなのですが、この宿ではお客さんがかなりフレンドリーで、知らない間に隣の人と会話をしていました。わたしの隣に座っていたのは京都からやってきたピアノの先生で、お母さまとお母さまのご友人と3人で温泉旅行に来たそうです。

食後は、ロビーでスイーツとコーヒーを飲みながら、リタイア後に秘湯めぐりを楽しんでいるというご夫婦と温泉談義を楽しみました。ご夫婦、女性グループ、親子連れ……いろいろな人と話をして、記念写真を撮ったり、LINEで写真交換をしたり。

自然と仲良くなれる空間は旅館というより、山のロッジさながらです。

また、料理にも度肝を抜かれました。

「遊食」と名付けられたメニューの最初の一皿は、大皿に盛られたおばんざい。

新鮮野菜がごちそうに。大皿料理は玉ねぎとししとう ≪写真:野添ちかこ≫

この日のおばんざいは玉ねぎとししとうをメインに ≪写真:野添ちかこ≫

てっきり和食会席だと思ったら、次に出てきたのは白いお皿の前菜らしきもの。なんとお造りだと言います。大鱒とじゃが芋の上にポーチドエッグがのり、ソースが添えられています。

これが刺身? 山宿とは思えない盛り付けにびっくり ≪写真:野添ちかこ≫

これがお刺身? 山宿とは思えない盛り付けにびっくり ≪写真:野添ちかこ≫

お次は湯葉のチーズ巻き。

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湯葉のチーズ焼き

そして、メインは飛騨牛の炭火焼きステーキで洋風の盛り付けです。

じゃーん! 飛騨牛もこんなふうにアレンジ! ≪写真:野添ちかこ≫

じゃーん! 飛騨牛もこんなふうにアレンジ! ≪写真:野添ちかこ≫

なのに、焼き物は山宿の定番ともいうべき岩魚の炭火焼き。山宿の王道を押さえつつ、かつ調和がとれています。

岩魚の塩焼きは顔を上にして出すのだそう ≪写真:野添ちかこ≫

出し方間違ってませんか? なんて質問は野暮。川魚は背びれの方に脂があるので背を手前に出すのが正解!  ≪写真:野添ちかこ≫

デザートはシェフ手作りのタルトタタン、カラメル風味のロールケーキ、ミルフィーユ、チョコレートのテリーヌの4種類から選べるといった凝りようです。

選べるスイーツは女性好み ≪写真:野添ちかこ≫

選べるスイーツは女性好み ≪写真:野添ちかこ≫

餅つきの思い出が旅の余韻を

そして、温泉もいい。

泉質は無色の単純温泉で一見ふつうに見えますがもともとの温度が高いこともあって、湯のもっている力はパワフルでよく温まります。それなのに、くせがなくてさっぱり。さわやかでくせになるから、夏場でも何度も入りたくなります。

宿から外に出て、小道を行けば貸し切り風呂が2つあります。

奥にある立ち湯は深さが140~150㎝はあろうかという深さで入りごたえ十分。屋根がないから菅笠をかぶって入ります。囲いは最小限なので、自然と親しめて爽快です。

立ち湯は140~150㎝で深め ≪写真:野添ちかこ≫

緑に囲まれて入る貸し切り風呂 ≪写真:野添ちかこ≫

翌朝、姉妹館である槍見舘の餅つきツアーでは幸せの味覚が待っています。

スタッフの掛け声に合わせて、お客様がついたつきたてのお餅を口にほうり込めば幸せな気分も最高潮に!

餅つきは宿泊者参加型 ≪写真:野添ちかこ≫

餅つきは宿泊者参加型 ≪写真:野添ちかこ≫


心が温かくなる旅に出かけてみませんか?

野の花山荘

  • 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷新穂高温泉
  • 全9室
  • 1泊2食14,000円(消費税・入湯税別)~
  • IN 15時/OUT 11時

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