細やかなセンスが光る老舗宿 ~歴史の宿 御客屋~


黒川温泉といえばここ数十年の間に知名度をあげた温泉地のように思いますが、実は約300年前、参勤交代の武士たちの疲れを癒した歴史をもつ湯宿があります。

創業享保7(1722)年。肥後国を統治していた細川の殿様がつくらせたのが「御客屋(おんきゃくや=現在はおきゃくや)」。藩主をはじめ重臣、長崎奉行などが立ち寄り、旅の疲れを癒したといいます。

温泉街の中心部にあり、町歩きに出かけるのに好立地

温泉街の中心部にあり、町歩きに出かけるのに好立地 ≪写真:野添ちかこ≫

純和風の古民家の趣きは黒川温泉らしさを感じられ、さらに女性目線のエッセンスをプラスしてとても居心地がよいのです。

川のせせらぎが聞こえる「清流の間」。角部屋で明るいお部屋です ≪写真:野添ちかこ≫

川のせせらぎが聞こえる「清流の間」。角部屋で明るいお部屋です ≪写真:野添ちかこ≫

例えば、お部屋には茶香炉がおかれ、地元作家の室原うきさんによる切り絵がかわいらしさを添えています。人工物はなければないほど居心地が良い空間になるのだと思いますが、こちらのお宿はトイレのペーパーホルダーが木製でなかなか感動しました。湯殿に向かう渡り廊下に置かれた灯りは手作りのステンドグラスで洒落ていたし、宿まるごと、クリエイターの館という感じ。売店には室原うきさんが作った小物-竹炭と和紙を使った飾り-が置かれていて、カラフルでかわいくて、即、購入しました。

売店で見つけた竹炭を使った小物 ≪写真:野添ちかこ≫

売店で見つけた竹炭を使った小物 ≪写真:野添ちかこ≫

生きている温泉、震災後に変化も

黒川温泉には酸性から弱アルカリ性まで、泉質も炭酸水素塩泉や硫黄泉、硫酸塩泉などさまざまな種類があるので、温泉地での湯めぐりが楽しいのですが、御客屋は自家源泉1本と共同源泉1本の異なる泉質の湯があるので、館内だけでも湯めぐりができます。

御客屋のもつ自家源泉は、pH2.8の「酸性・鉄(Ⅱ)‐単純温泉(硫酸塩型)」で、白濁したり、茶褐色ににごったりする特徴的な湯でしたが、1年前の熊本地震の影響で、お湯の質にも影響が表れました。

「酸性だったのが、pHも変わってしまって、おそらくアルカリ性に傾き、“8.いくつ”はあります。鉄分の多い婦人の湯だったけれど、保湿効果のある美肌の湯、美人の湯に変わっている可能性が高い」(女将の橋本栄子さん)とのこと。これから成分分析を再度行うとのことなので、詳細は後日はっきりするでしょう。

さて、まず向かったのは内湯の姫肌の湯。

IMG_3437姫肌の湯
黒光りする太い梁と柱、趣のある木造の湯殿で自家源泉が注がれています。

おそらくアルカリ性になっているであろうとされるお湯は、お肌がしっとりと潤ういいお湯でした。

その対面にある「古の湯」は竹や杉葺きの壁が古書に記された湯殿の趣を再現した湯舟です。共同源泉を使っていて、この日の色は、目に鮮やかな濃紺でした。こちらも、「前はあんなにブルーではなかった」(女将)といいますから、地下ではさまざまな変化が起こっているのでしょうね。

濃紺の色がなんとも美しい「古の湯」 ≪写真:野添ちかこ≫

濃紺の色がなんとも美しい「古の湯」 ≪写真:野添ちかこ≫

次に向かったのは露天風呂の「代官の湯」。

自家源泉で、以前は鉄分が多いためにオレンジ色のにごり湯だったそうですが、地震後は鉄分が薄くなったようで、透明です。

震災後には泉質も変化した!? 「代官の湯」≪写真:野添ちかこ≫

地震後には泉質も変化した!? 「代官の湯」≪写真:野添ちかこ≫

もっとも大きな浴槽の「里の湯」は共同源泉で、温泉分析書ではpH6.7のナトリウム-塩化物・硫酸塩泉と記されていましたが、さきほどの「古の湯」の色とも似ています。泉質はこちらも変化があるのかもしれません。

2本の竹をもってゆらりゆらりとお湯に浮かぶ ≪写真:野添ちかこ≫

「里の湯」の立ち湯≪写真:野添ちかこ≫

写真のように、群青色のしっとりとした感触のいいお湯でした。寝湯スペースと立ち湯があって、上から吊るされた2本渡された竹に腕をかけて、ぷかーりぷかりと湯に浮かぶと、時間を忘れるくらい、リラックスできます。

夕食は自家製梅酒から始まって、紅ます、せいごの刺身をゆず胡椒でいただいたり、クリームチーズ蓮根に驚いたり、馬刺し、黒豚蒸ししゃぶ、エノハの塩焼きなど九州のうまいもんが大集合です。お米は棚田で作った自家製米。特に女性のお客さんにちょうどいい量なので、女子旅にはぴったりです。

歴史の宿 御客屋

  • 熊本県阿蘇郡南小国町黒川温泉川端通り
  • 全12室
  • IN 15時/OUT 10時
  • 1泊2食14,000円(消費税・入湯税別)~
  • 日帰り入浴可(8時30分~21時、600円)

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